帝国データバンクが発表した「雇用動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万203社)によると、2023年度の正社員の採用状況は、「採用予定がある」企業は前回調査(2022年2月実施)から0.8ポイント増の63.0%となり、2年連続で上昇した。また、採用予定がある企業の内訳は、採用人数が「増加する」企業が25.7%(前年度比0.2ポイント増)と、新型コロナ前の2019 年度(23.4%)を上回り、4社に1社で増加する見通し。
規模別に正社員の「採用予定がある」割合をみると、「大企業」は86.3%と全体を大幅に上回った。一方で、「中小企業」は58.7%、「小規模企業」は41.8%となり、企業規模が小さいほど割合が低くなっている。業界別における「採用予定がある」割合は、「運輸・倉庫」が70.0%で最も高く、次いで、「サービス」が69.0%、「建設」が68.1%で続いた。なかでも、「サービス」は31.8%と約3社に1社が採用人数の増加を見込む。
さらに主な業種でみると、「医療・福祉・保健衛生」(82.8%)では8割超の企業が採用を予定しているほか、「旅館・ホテル」(79.3%)、「輸送用機械・器具製造」(76.8%)も8割近くにのぼる。また、「人材派遣・紹介」では採用が「増加する」企業は42.3%と4割超となった。企業からは、「賃上げを踏まえ、採用計画を思案中」(一般病院、長崎県)といった前向きな声が聞かれた。
一方、2023年度の非正社員の採用状況については、「採用予定がある」企業は47.3%(前年度比1.0ポイント増)と勢いは前年より衰えるも2年連続で上昇。また、採用人数が増加する企業は13.4%(同0.9ポイント増)と新型コロナ前の2019年度を若干上回った。採用予定がない企業は39.2%(同▲1.9ポイント減)となった。業界別では、「農・林・水産」が60.2%で最も高く、「小売』(58.8%)、「運輸・倉庫」(56.9%)が続いた。
主な業種別では、「飲食店 」(91.4%)や「旅館・ホテル」(80.5% )、「飲食料品小売」(75.3%)、「娯楽サービス 」(73.4%)など、個人消費関連の業種で「採用予定がある」割合が高い傾向となっている。なかでも、「飲食店」では採用人数が「増加する」企業が49.4%と約5割にのぼった。新型コロナ感染対策の緩和による人流の増加で人手不足感が高まり、採用が活発となっているとみられる。
企業が求める職種(複数回答)では、販売、営業職などの「販売の職業」(42.1%)がトップ。次いで、開発・製造技術者などの「専門的・技術的職業」(33.9%)、一般事務員などの「事務的職業」(20.8%)、役員や管理職などの「マネージメント職」(20.7%)が続いた。業界に特化していない職種をみると、「販売の職業」は、特に「卸売」(71.7%)、「小売」(64.6%)、「金融」(53.7%)といった業界における割合が比較的高かった。
同調査結果はhttps://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230304.pdf