2023年度税制改正における土地税制のうち、縮減等の措置が講じられるのは、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例と、既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例の2本だ。優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例については、見直しを行った上で、その適用期限が3年延長される。
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は、優良住宅地等の造成のために土地等を譲渡し、一定の証明がされた場合、譲渡所得の金額及び所得税額は、課税長期譲渡所得金額が2000万円以下であれば、課税長期譲渡所得金額×10.21%(住民税4%)、2000万円を超える場合は、200万円+(課税長期譲渡所得金額-2000万円)×15.315%(住民税5%)で計算し、軽減税率が適用される。
今回の改正では、適用対象から特定の民間再開発事業の用に供するための土地等の譲渡が除外され、開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う者に対する土地等の譲渡に係る開発許可について、(1)市街化区域、(2)市街化調整区域、(3)区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(用途地域が定められている区域に限る)、の区域内において行われる開発行為に係るものに限定される。
また、既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例については、買換資産である中高層の耐火築物の建築に係る事業の範囲から、優良住宅地の造成に係る課税の特例と同様に、特定の民間再開発事業が除外される。同特例における譲渡資産は、事業の用又は居住の用に供されていたものであるかどうかを問わないものであることに留意が必要だ。
ちなみに、既成市街地等とは首都圏、近畿圏、中部圏にある一定の区域をいう。既成市街地等と定められている区域は、例えば、首都圏であれば、東京都は23区・武蔵野市の全域、三鷹市の特定の区域、神奈川県は横浜市・川崎市の特定の区域など。近畿圏であれば、大阪府は大阪市の全域、守口市・東大阪市・堺市の特定の区域など。特定の区域が既成市街地等に該当するかどうかは、当該市当局に確認する必要がある。