東京商工リサーチが発表した「ゼロ・ゼロ融資利用後倒産調査」結果によると、2023年2月の「ゼロ・ゼロ融資」を利用した倒産は48件(前年同月比152.6%増)で、前年同月(19件)から2.5倍増となった。2020年7月からの累計は681件に達し、また、2022年度(4~2月)では累計478件と前年同期(106件)の4.5倍に増加。年度通期では2021年度の150件を大幅に上回り、500件を超える可能性が高まっている。
「ゼロ・ゼロ融資」の元本返済と利払いは今年春以降、本格化する。このため、新たな返済猶予と同時に、過剰債務が負担となって新規調達が難しい企業の脱落ペースが一段と上がることも懸念される。中小・零細企業の資金繰り緩和に貢献し、倒産抑制につながったが、その副作用で過剰債務を招き、業績回復が遅れた企業が新たな資金調達に苦慮するケースも少なくない。こうした企業の息切れが、倒産を押し上げている。
産業別は、最多が「サービス業他」の14件で、全体の約3割(構成比29.1%)を占めた。このうち、居酒屋などの飲食店や持ち帰り飲食サービス業を含む飲食業が9件にのぼった。コロナ前の客足が戻らず、人件費や材料価格、光熱費の高騰で採算が悪化し行き詰まった。このほか、「建設業」9件(同18.7%)、「製造業」と「卸売業」が各8件(同16.6%)、「運輸業」4件、「小売業」3件、「情報通信業」2件と続く。
業種(中分類)別では、居酒屋を含む「飲食店」が8件で最多。このほか、「食料品製造業」と「飲食料品卸売業」が各3件で続き、飲食関連業種が上位を占めた。「総合工事業」が6件で2番目に多かったが、資材価格の高騰や人手不足が直撃した。さらに、建設業では「職別工事業」が2件、「設備工事業」が1件発生した。小・零細規模の多い業種だが、資材調達遅れに伴う工事延期、資材値上げなどの影響も大きい。
形態別では、最多は消滅型の「破産」が39件(構成比81.2%)で、全体の8割を占めた。「特別清算」は発生がなく(前年同月比±0.0%)、消滅型は破産のみだった。一方、再建型の「民事再生法」は4件(構成比8.3%、前年同月ゼロ)発生した。産業用機械製造の(株)トガシ技研(山形、負債56億円)、温泉旅館経営の(株)丸峰観光ホテル(福島、同20億7600万円)が民事再生法を申請した。
同調査結果は