年間報酬額は「部長級」1091万円、「課長級」882万円

 デロイト トーマツが発表した「人事制度・報酬調査2022」結果(有効回答数196社)によると、全産業における、基本給・諸手当・賞与を含めた年間報酬額の中央値は、「Senior Manager/部長級」で1091万円、「Manager/課長級」は882万円となった。また、階層間での報酬格差について内資企業と外資企業で比較した場合、内資企業は階層間格差が全般的に小さく、とりわけ賞与において顕著な違いが見られた。

 年齢別の賃金カーブでは「55歳以降」の報酬水準の落込みがなくなりつつある。今回の調査結果では、定年延長企業が2割を超え、再雇用者制度導入企業でも定年前と同水準で処遇している企業が15%となるなど、高年齢層の処遇に変化が生まれつつある。若年層については、初任給見直しや処遇見直し等が進んだことなどで会社間の水準差は小さい一方、企業間で競争力の差が生まれ、「28歳以降」の中堅世代では報酬水準が広がっている。

 賃上げの検討状況、賃上げの対象をみると、直近3年間において賃上げの実施もしくは具体的計画がなされた企業は7割となった。うち7割が全体を対象とする賃上げとしている。特に近年は初任給見直しや若手層の処遇見直し等が進められてきたこともあり、内資における階層間格差の小ささもあいまってから初任給・若手層を限定した賃上げは難しくなっていることがうかがえる。

 人事制度の基軸/改定意向は、管理職では、「職能・役割・職務/ジョブのうちいずれかを組み合わせた」制度基軸としている企業が31.6%で最も多く、次いで「職能」(30.6%)となっている。一方、非管理職では、「職能」を制度基軸としている企業が54.1%で最も多い。また、定年後再雇用制度、再雇用時の報酬水準は、約7~8割の企業が「60歳」 定年(77.6%)としている一方、約2~3割の企業が「65歳」定年(18.4%)にしている。

 「65歳以上」定年の企業の51.4%と約5割が再雇用制度を設けている。定年後再雇用を採用している企業において、再雇用時の報酬水準を定年前の「60%以上70%未満」にしている企業が22.4%で最も多く、次いで「70%以上80%未満」または「50%以上60%未満」(各16.3%)となっている。なお、デジタル人材を「採用した」または「今後採用予定がある」企業は、あわせて約7割(68.4%)にのぼる。

 デジタル人材の採用を「実施した」企業の処遇に関して、「制度、運用ともに特別な措置は講じていない」企業の割合が67.9%で最も高いが、何らか特別な措置を講じている企業もおよそ3~4割程度ある。デジタル人材採用における課題としては、「報酬水準の自社水準とのアンマッチ」(73.1%)または「市場母集団の少なさ」(67.9%)を選ぶ企業の割合が多くなっている。

 同調査結果は

https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20230306.html