仕入・調達費が上昇した企業は、2年続けて8割超え

 大阪シティ信用金庫が発表した「中小企業における仕入価格の動向と価格転嫁調査」結果(有効回答数1345社)によると、ここ1年程度を振り返った原材料・商品等の仕入・調達費の動向は、「上昇している」企業が 87.1%あり、昨年(84.4%)に続いて、8割を超える高水準となった。 業種別でみると、「上昇している」企業は、「製造業」(94.0%)、「建設業」(91.2%)で9 割を超える一方、「サービス業」は 69.6%で比較的低くなっている。

 「上昇している」企業への仕入・調達費の上昇が経営に与える影響は、「まだ余裕がある」企業が39.1%となった一方、「やや深刻」(52.8%)と「かなり深刻」(8.1%)を合わせた、「深刻な影響を受けている」企業は60.9%となった。業種別でみると、「深刻な影響を受けている」企業が、「運輸業」(69.4%)と「卸売業」(68.2%)でおよそ7割ある一方、「サービス業」(50.3%)は半数程度となっている。

 「上昇している」企業の仕入・調達費の上昇分に見合う製商品・サービス等の価格引上げ(価格転嫁)の程度は、「概ね転嫁できている(8割以上)」とした企業が22.0%、「半分以上転嫁できている(5割~8割)」が37.0%。一方、「一部しか転嫁できていない(2割~5割)」(32.4%)、「ほとんど転嫁できていない(2割未満)」(8.6%)を合わせた41.0%の企業は「転嫁ができていない」としており、収益確保が困難な状況が続いている。

 「転嫁できている(5割以上)」企業が価格転嫁できた理由(複数回答)については、「取引先との継続的な交渉の結果」とした企業が70.2%、以下、「自社が適正な価格を決定しているから」(43.4%)、「市場競争力があるから」(12.8%)、「同業他社が少ないから」(9.9%)と続く。企業からは、今後も交渉を続けるといった声も多く聞かれ、価格転嫁が進んでいくことが期待できる。

 一方、「転嫁できていない(5割未満)」企業が価格転嫁できない理由(複数回答)は、「他社との価格競争が激しいから」とした企業が68.4%、「取引先との交渉が困難だから」が60.6%、以下、「長期契約などのため価格変更が困難だから」(11.3%)、「市場競争力が弱いから」(11.3%)と続く。企業からは、「定番商品の値上げはお客様の購買意欲をそぐ可能性が高い」(菓子製造)などの声が聞かれた。

 同調査結果は

https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2022/2023-02-24.pdf