2023年度の春闘で、賃上げを実施予定の企業は80.6%あることが、東京商工リサーチが発表した「賃上げに関するアンケート調査」結果(有効回答数4465社)で分かった。今年度(2022年度)の実施企業は82.5%で、2年連続で8割台に乗せ、「賃上げ」を実施する企業の割合はコロナ前の水準に戻っている。規模別では、実施企業は大企業が85.5%なのに対し、中小企業は80.0%で、5.5ポイントの差がついた。
「実施する」と回答した企業を産業別にみると、構成比の最高は、「製造業」の85.9%、次いで、「卸売業」81.8%、「建設業」81.2%、「情報通信業」80.4%の順。規模別では、「賃上げ実施率」は10産業すべてで大企業が中小企業を上回った。「運輸業」は、大企業の実施率が92.0%に対し、中小企業が74.5%、「小売業」は大企業の84.6%に対し、中小企業は72.1%と、中小企業の実施率は大企業をそれぞれ下回った。
「実施する」企業の賃上げ率をみると、1%区切りでは、最多が「3%以上4%未満」の29.9%など、賃上げ率「5%未満」が70.7%と、連合が掲げる「5%以上」の賃上げを実施予定の企業は29.2%にとどまった。ただ、2022年10月実施のアンケートで、2023年度に「5%以上」の賃上げを予定している企業は4.2%だった。急速な物価高の進行で、2023年度の賃上げ率を引き上げる企業の割合は短期間で25.0ポイント増と大幅に上昇した。
賃上げ内容(複数回答)は、最多が「定期昇給」の77.7%、次いで、「ベースアップ」の50.0%、「賞与(一時金)の増額」の35.2%と続く。「ベースアップ」実施企業は、前年10月から11.0ポイント上昇したが、全体では半数にとどまった。規模別では、「定期昇給」は大企業の83.8%に対し、中小企業は76.8%、「ベースアップ」は同55.9%に対し、49.2%。基本給に関わる賃金の底上げは、中小企業にとって負担が大きいことを示している。
「実施しない」と回答した企業の理由(複数回答)は、最多が「コスト増加分を十分に価格転嫁できていない」の58.0%で、賃上げの予定がない企業の約6割が「価格転嫁」を理由に挙げた。以下、「原材料価格が高騰しているため」53.9%、「電気代が高騰しているため」46.4%、「受注の先行きに不安があるため」45.9%と続く。賃上げを実施しない企業は、前向きな投資の優先より、目先の収益悪化を大きな理由に挙げている。
同調査結果は