東京商工リサーチが発表した「2022年の業歴30年以上の老舗企業の倒産調査」結果によると、2022年に倒産した企業の平均寿命は23.3年で、前年の23.8年から0.5年短くなった。平均寿命が前年を下回ったのは2年ぶり。「老舗」企業の構成比は33.7%(前年33.8%)で、ほぼ前年並みだったが、「新興」企業の構成比が2008年以降の15年間で最高の29.6%(同26.5%)と3.1ポイント高まり、平均寿命の短縮につながった。
業歴30年以上の「老舗」は1904件(構成比33.7%)で、構成比は前年より0.1ポイント低下し、3年ぶりに前年を下回った。「老舗」企業は、その年月に応じて金融機関や取引先との関係を築き上げている。だが、過去の成功体験にとらわれ、外部環境の変化への対応が遅れるケースもある。また、高齢の代表者は、生産性向上や市場拡大への投資に消極的で、事業承継や後継者育成も後手に回りやすく、倒産や休廃業に追い込まれやすい。
業歴10年未満の「新興」の構成比は2008年以降の15年間で最高の29.6%で、前年(26.5%)から3.1ポイント上昇。経営体力が脆弱な「新興」は、コロナ禍で深刻な危機にさらされている。また、産業別の平均寿命では、最長が「製造業」の35.7年、次いで、「卸売業」27.9年、「運輸業」26.2年、「小売業」23.9年、「農・林・漁・鉱業」23.1年の順。 平均寿命が最も短いのは、「金融・保険業」の12.5年だった。
深刻な人手不足で倒産が増加した2019年から一転し、2020年以降のコロナ禍では、国や自治体、金融機関などのコロナ関連支援が奏功し、「老舗」から「新興」まで幅広い企業で資金繰りが緩和され、企業倒産は低水準が続いている。2022年は長引くコロナ禍で支援効果も薄れるなか、原材料や資材、エネルギー価格の高騰などで急激な物価高に見舞われたため経営基盤が脆弱な「新興」企業の倒産が増加し、平均寿命の短縮につながった。
2022年倒産の「老舗」企業の構成比を都道府県別でみると、トップは「徳島県」の58.0%(前年50.0%)。次いで、「静岡県」56.9%(同42.7%)、「山形県」53.3%(同53.8%)、「新潟県」53.2%(同47.8%)、「愛媛県」51.3%(同56.5%)と続く。全国平均の33.7%以上は30府県(前年全国平均33.8%、30府県)だった。一方、「老舗」企業の構成比の最低は、「沖縄県」で14.7%(前年21.0%)だった。
同調査結果は