財務省がこのほど公表した2022年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況によると、不正薬物全体の摘発件数は1044件(前年比25%増)と増加し、押収量は約1147キログラム(同▲8%減)と減少した。不正薬物全体の押収量は、7年連続で1トンを超え、極めて深刻な状況となっている。不正薬物とは、覚醒剤、大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう(錠剤型薬物を除く)。
覚醒剤の摘発件数は、300件(前年比約3.2倍)と増加し、押収量は約567キログラム(同▲44%減)と減少した。押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約1892万回分、末端価格にして約335億円に相当する。覚醒剤の密輸形態別摘発実績では、航空貨物、国際郵便物及び航空機旅客において、摘発件数・押収量共に前年より増加。一方、海上貨物は前年より減少し、船員等の摘発はなかった。
大麻(大麻草・大麻樹脂等)の摘発件数は148件(前年比▲26%減)と減少した一方、押収量は約431キログラム(同約2.8倍)と増加。大麻草の押収量は約315キログラム(同約14.5倍)と増加し、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む。)の押収量は約117キログラム(同▲11%減)と減少。仕出地別の摘発件数では、アメリカが51%、次いでベトナムが15%、カナダが11%となり、北米で約6割を占めた。
麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は前年とほぼ同数の232件、押収量は、重量は約131キログラム(前年比約2.2倍)と増加し、錠剤型は約78千錠(同▲41%減)と減少。MDMA等の摘発件数は96件(同19%増)と増加し、押収量は、錠剤型が約 78千錠(同▲40%減)、その他の形状が約46キログラム(同52%増)。コカインの摘発件数は28件(同▲18%減)と減少し、押収量は約48キログラム(同約3.3 倍)と増加した。
一方、知的財産侵害物品等の違反事件では、商標権を侵害するバッグ等や著作権を侵害するワッペン等の知的財産侵害物品の密輸事件を9件告発。ワシントン条約に該当するサル(コモンリスザル等)等の密輸事件や、廃電子基板等の不正輸出事件を告発。金地金の摘発件数は9件(前年比80%増)、押収量は約135キログラム(同約5倍)と共に増加した。金地金には、金塊に加えて一部加工された金製品も含む。
この件は
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2022/ka20230215.pdf