「物価高」が最後の追打ちとなる倒産、7ヵ月連続最多

 ロシアがウクライナに侵攻してまもなく1年。事態に大きな進展はみられず膠着状態が続く。これに端を発した物価高を中心に、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」や取引先からの値下げ圧力等で価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより発生した「物価高倒産」は増加傾向が続いている。価格転嫁が十分に進まない状況が続くなかで、「物価高」が最後の追打ちとなる倒産は引き続き増加傾向で推移するとみられる。

 帝国データバンクが発表した「物価高倒産動向調査」結果によると、2023年1月の物価高倒産は50件判明し、前年同月の6件から約8.3倍に急増した。また、2022年12月の48件をさらに上回り、7ヵ月連続で調査開始以来最多を更新した。50件を業種別にみると、「製造業」(12件)がトップとなり、なかでも「飲食料品製造業」(5件)が目立つ。以下、「運輸・通信業」(10件)、「建設業」(7件)が続いた。

 業種細分類別では「運輸業」(10件)がトップ。そのほか、工事業者などが目立つ。これらの業種では、燃料高や食品、資材価格高騰の影響を大きく受けている。負債規模別にみると、「1億~5億円未満」が21件で最も多く、次いで、「1000万円~5000万円未満」(13件)、「5000万円~1億円未満」(8件)と続く。また、物価高倒産を要因別に分析すると、2023年1月は「エネルギーコスト」が30.0%で最も多かった。

 次いで「原材料」(28.0%)、「包装・資材」(24.0%)と続く。なお、2022年通年では、「原材料」(42.1%)で最多。以下、「エネルギーコスト」(24.1%)、「包装・資材」(20.9%)と続く。地政学的リスクや為替変動など依然として出口の見えない環境にあるなか、帝国データバンクが1月31日に発表した「食品主要195社の価格改定動向調査」で示された“値上げラッシュ”に限らず、今後もエネルギーコストである電気料金などの値上げも控える。

 足元では、緩やかな価格転嫁が進んではいるものの、価格転嫁率は依然4割を下回っている(「価格転嫁に関する実態調査(2022年12月)」、1月23日帝国データバンク発表)。こうした状況下、いわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化する企業が増えていくなかで、各種コスト上昇分を転嫁できない中小事業者を中心に、物価高倒産は引き続き増加傾向で推移していくものとみられている。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230202.pdf