帝国データバンクが発表した「価格転嫁に関する実態調査」結果(有効回答数1万1680社)によると、自社の主な商品等におけるコストの上昇分の販売価格等への転嫁状況は、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は69.2%となった。その内訳は、「すべて転嫁」は4.1%にとどまり、「8割以上」12.7%、「5割以上8割未満」17.1%、「2割以上5割未満」は15.2%、「2割未満」20.1%。一方、「全く価格転嫁できていない」企業は15.9%だった。
価格転嫁をしたいと考えている企業の販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は 39.9%と4割を下回った。これはコストが100円上昇した場合に39.9円しか販売価格に反映できていないことを示している。調査方法が異なるため単純な比較はできないものの、2022年後半の急激な円安の進行などで物価上昇のスピードに価格転嫁が追いつかない状態となった昨年9月時点と比べると、緩やかに価格転嫁が進んでいる様子がうかがえる。
価格転嫁率を業種別にみると、価格転嫁率が比較的高い業種は「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(66.0%)や「化学品卸売」、「紙類・文具・書籍卸売」(ともに 62.8%)で6割を超えた。他方、比較的低い業種では、「医療・福祉・保健衛生」(10.5%)や映画・ビデオ制作業やパチンコホールなどを含む「娯楽サービス」(12.7%)で1割程度にとどまった。「運輸・倉庫」(20.0%)や「旅館・ホテル」(21.7%)も低水準となっている。
自社の主な商品・サービスのコスト上昇に対する価格転嫁以外の対応策(複数回答)は、半数を超える58.6%の企業で「自社経費の削減」を実行していた。以下、ムダやムラの削減など「ロスの削減」(42.4%)が4割台で続き、設備機器等の入替えなどを含む「生産の効率化」(23.4%)、「内部留保による対応」(17.3%)など、多くの企業で自助努力によって対応している様子がうかがえた。
価格転嫁ができない、難しい理由(複数回答)は、「取引企業から理解が得られ難い」が 39.5%で最多。「自社の交渉力」(25.0%)を理由にあげる企業が4社に1社。以下、「消費者から理解が得られ難い」(20.1%)や「(年度など)契約の制限がある」(13.1%)が並ぶ。他方で、「交渉自体行えない」(7.5%)や「正常な商習慣に照らして不当な要請がある」(6.4%)といった、取引企業との交渉そのものができていない企業も一部でみられた。
同調査結果は