日本政策金融公庫が従業者数5人以上299人以下の中小企業(不動産賃貸業は除く)を対象に昨年8月に実施した「中小企業の脱炭素への取組みに関する調査」結果(有効回答数1666社)によると、温室効果ガスの削減につながる取組みについて3年前の実施状況は、取組み「全体」では、「大いに実施していた」(7.2%)、「ある程度実施していた」(34.7%)を合わせた「実施」の割合が41.9%となった。
個々の取組みをみると、実施企業割合が最も高いのは「リサイクル」の55.8%で、「省エネルギー」(52.5%)、「リサイクル製品の使用」(51.2%)がそれに続く。また、現在の実施企業割合は、「全体」が44.9%と3年前よりもやや高まっている。個々の取組みは、3年前と同じく「リサイクル」(53.3%)、「省エネルギー」(50.7%)、「リサイクル製品の使用」(50.1%)の順に高くなっている。
業種別に現在の実施企業割合をみると、取組み「全体」は「卸売業」(53.9%)、「製造業」(49.5%)、「小売業」(48.1%)の順に高くなっている。個々の取組みの実施企業割合をみると、「卸売業」では「省エネルギー」(59.6%)、「製造業」では「リサイクル」(60.0%)、「小売業」では「リサイクル製品の使用」(60.6%)が最も高くなっている。そのほか、「情報通信業」では「人の移動の抑制」が64.7%と最も高い。
実施企業割合を従業者規模別にみると、「50~299人」は3年前が57.5%、現在が66.0%、「20~49人」はそれぞれ45.3%、48.3%、年商規模別にみると「5億円以上」が同じく51.4%、59.0%、「1億円以上5億円未満」が47.3%、48.6%などとなっており、事業の規模が大きい企業ほど取組みが進んでいる。業況別では、「良い」企業は3年前が53.0%、現在が55.8%、「やや良い」企業はそれぞれ46.9%、46.8%と、業況が良いほど実施割合が高い。
温室効果ガスの削減につながる取組みを行った理由(複数回答)は、取組み「全体」では、「企業としての責任だと思うため」(25.4%)、「社会的に求められているため」(24.2%)に加え、「コストを削減するため」(20.6%)との回答が多かった。個々の取組みでは、「コストを削減するため」の割合が、「省エネルギー」(28.1%)、「リサイクル」(23.9%)、などで「全体」の20.6%を上回るなど、収益改善効果をより重視する傾向がうかがえる。
同調査結果は
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings230120_1.pdf