帝国データバンクが発表した「全国企業の休廃業・解散動向調査」調査結果によると、2022年に全国で休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は前年から約1300件(2.3%)減少の5万3426件を数えた。2022年初頭から3.66%の企業が、休廃業で同年中に市場から退出・消滅した。また、2021年に続き3年連続で減少し、コロナ前の2019年からも約6000件少ない低水準で推移した。
休廃業による影響では、企業の雇用(正社員)が少なくとも累計8万2053人に及び、前年(7万8411人)から約3600人分増加した。全ての雇用機会が消失したものではないが、企業の休廃業で8万人超が転退職を迫られた計算となる。消失した売上高は合計2兆3677億円にのぼった。2022年の休廃業動向は、3年ぶりに増加に転じた企業倒産(法的整理)と対照的な動きとなった。
企業倒産では、「ゼロゼロ融資」をはじめとした緊急避難的な借入金などの猶予期間中に、業績回復や筋肉質な経営体質への転換が遅れ、事業の先行きが見通せず事業継続を断念した中小企業のケースが多かった。他方、休廃業ではこうした良好な資金調達環境に加え、金融機関をはじめ官民一体の伴走支援策によって、休廃業へと傾きつつあった経営マインドに「待った」を掛けたことが、休廃業・解散の発生を抑制した主な要因とみられる。
一方で、資産が負債を上回るなど現状の財務内容に問題がない企業で「あきらめ休廃業」選択の動きもみられる。2022年に休廃業した企業のうち、「資産超過型休廃業」は63.4%を占めた。他方、休廃業する直前期の決算で当期純損益が「黒字」だった割合は54.3%となり、半数超が黒字休廃業だったものの、その割合は過去最低を更新した。この結果、「資産超過」かつ「黒字」の状態で休廃業した企業の割合は全体の15.1%にとどまった。
総じて、長引くコロナ禍に加え、原材料価格やエネルギー価格の高騰、人手確保のための人件費増などにより収益面・財務面にダメージを受けた企業の休廃業割合が高まっている。こうしたなか、財務内容やキャッシュなどある程度の経営余力を残している企業で、事業再建を含め将来を悲観し、自主的に会社を休業・廃業、あるいは解散を行う「あきらめ休廃業」の機運が高まっている可能性がある。
休廃業を行った企業の代表者年齢は、2022年平均で71.0歳となり、2年連続で70歳を超えた。年代別では「70代」が41.1%と4割を超えたほか、ピーク年齢も75歳と前年から3歳上昇し過去最高を更新するなど、総じて高齢代表による休廃業が加速している。対照的に、経営者のボリュームゾーンとなる「60代」、「50代」の割合はいずれも前年から低下し、休廃業動向は代表年齢70歳を境に二極化の傾向が進んでいる。
同調査結果は