女性の起業関心層は「私生活との両立」重視する傾向

 日本政策金融公庫が昨年11月に全国の18歳~69歳の男女を対象に実施した「2022年度起業と起業意識に関する調査」における「女性の起業への関心」についての特別集計結果では、女性の起業関心層は「私生活との両立」を重視する傾向にあることが明らかになった。同調査では、事業に充てる時間が1週間に35時間以上を「起業家」、35時間未満を「パートタイム起業家」と分類している。

 特別集計結果(有効回答数2681人)によると、女性に占める起業無関心層の割合は69.1%と、男性(50.8%)に比べてかなり高い。起業家は0.4%(男性1.2%)、パートタイム起業家は4.4%(同5.6%)、起業関心層は9.9%(同13.7%)だった。「主婦・主夫」である割合は、女性の起業無関心層は34.3%と男性の0.7%を大幅に上回る。同様に、女性の起業関心層(21.7%)も男性(0.5%)を20ポイント以上上回っている。

 女性のうち主たる家計維持者である人は、起業家で多く、起業無関心層で少ない。女性のうち主たる家計維持者である割合は、起業家で45.0%と最も高く、起業無関心層で30.3%と最も低い。ただし、いずれの類型においても、男性の割合の半分程度と低い。家事に「携わっていない」割合は、起業家は男女ともに約6割と同程度だが、その他の類型では女性の方が低い。起業関心層の女性は、「携わっていない」割合が41.3%と最も低くなっている。

 女性が仕事で最も重視することは、起業家は「仕事のやりがい」、その他の類型は「私生活との両立」だった。仕事をする上で最も重視することは、男性は4類型いずれも「収入」との回答割合が最も高い。一方、女性は、起業家では「仕事のやりがい」(38.3%)が最も高く、パートタイム起業家、起業関心層、起業無関心層では「私生活との両立」(順に47.5%、44.9%、50.0%)が最も高くなっている。

 女性の起業関心層の起業予定は、「10年以内に起業する」との回答割合は7.0%と、男性の場合(19.6%)の半分以下。「起業するかどうかはまだわからない」との回答割合が48.9%にのぼる。起業に関心をもった理由(3つまで回答)としては、「収入を増やしたい」が過半数と多い。男性と比べると、「時間や気持ちにゆとりが欲しい」、「家事と両立できる仕事をしたい」、「年齢や性別に関係なく仕事がしたい」などの回答割合が高くなっている。

 同調査結果は

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kigyouishiki_230119_1.pdf