東京商工リサーチが発表した「休廃業・解散企業動向調査」結果によると、2022年の「休廃業・解散」企業は、全国4万9625件(前年比11.8%増)で2年ぶりに増加した。2000年に調査を開始以降、2020年の4万9698件にほぼ並ぶ、過去2番目の高水準となった。2022年は企業倒産も3年ぶりに増加に転じている。このため、コロナ関連支援策の希薄化と同時に、先行きの見通しが厳しい場合、市場退出を決断する経営者が増えている。
コロナ禍での政府や自治体、金融機関の手厚い資金繰り支援が奏功し、2021年は休廃業・解散、倒産はそろって前年を大幅に下回った。なかでも持続化給付金や雇用調整助成金など「給付型」支援は一時的な資金繰り改善だけでなく、コロナ禍で事業環境が激変するなかで債務に類しないキャッシュインとして資金繰り緩和に大きな効果をみせた。ただ、その一方で事業継続の判断の先送りにもつながり、2021年に休廃業・解散が減少した一因となった。
「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」を含むコロナ関連支援策は順次縮小し、コロナ禍の出口戦略のなかで経営の自立・自走が求められることで、企業は決断を迫られている。業歴別の構成比は、最多は「10年以上20年未満」の22.6%。次いで、「30年以上40年未満」の16.7%だった。一方、業歴「10年未満」は24.1%で、前年を2.5ポイント下回った。業歴の長い企業の休廃業・解散が目立つ結果となった。
産業別では、10産業すべてで増加。最多は、飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含む「サービス業他」の1万5876件(構成比32.0%)。以下、「建設業」8079件(同16.3%)、「小売業」5559件(同11.2%)と続く。産業を細分化した業種別(45分類)では、出版社や広告制作などが含まれる「情報サービス・制作業」が2765件(前年比31.3%増)、「飲食業」が1899件(同15.6%増)と大幅に増加した。
休廃業する直前期の決算は、2022年は当期損益(最終利益)の黒字は54.9%。2000年に調査を開始以降、黒字率が初めて60%を割り込んだ2021年を1.6ポイント下回り、過去最低を更新した。黒字率は、2017年から4年連続で61%台だったが、2021年は一気に60%を割り込み、2022年はさらに下落した。コロナ禍の経営環境の激変に加え、原材料価格の高騰や人件費上昇などが損益に大きな影響を与え、休廃業の決断を促した可能性がある。
同調査結果は