日本経団連が会員企業を対象に昨年9~11月に実施した「2022年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」結果(有効回答数374社)によると、2022年春季労使交渉・協議は7割(70.4%)の企業が行ったが、春季労使交渉における労働組合等の要求項目(複数回答)は、「基本給のベースアップ」が73.4%、「定期昇給の実施、賃金体系の維持」が68.4%のほか、「初任給の引上げ」(29.1%)が上位に挙げられた。
労働組合等の要求項目に対する回答状況をみると、「定期昇給の実施、賃金体系の維持」に対しては、90.1%が「要求通り」、2.1%が「要求を上回る」だったが、「基本給のベースアップ」では、65.4%が「要求を下回る」、「要求通り」は27.0%だった。他方、労働組合等の要求と関係なく、会社施策として実施を決定した項目(複数回答)は、「定期昇給の実施、賃金体系の維持」が72.1%、「初任給の引上げ」が44.6%だった。
また、最近の物価上昇への対応状況(複数回答)は、「未定」が6割強(61.2%)を占め、「対応済み」は8.7%に過ぎず、「今後対応する予定(次回の賃金改定前・時)」が22.8%となっている。最近の物価上昇への具体的な対応方法(複数回答)については、「ベースアップ」が77.2%と最も多く、次いで、「賞与・一時金(ボーナス)支給時に加算」(29.7%)、「手当(毎月支給)の新設・増額」(11.9%)が続いた。
2022年度の賞与・一時金の金額(組合員平均)については、前年度実績と比較して「増額」が62.7%、「ほぼ同額」が26.2%となっており、「減額」とする企業が約1割(11.2%)あった。労働組合の要求との比較では、「交渉による決定ではない(業績連動方式など)」(42.8%)を除くと、「要求を下回る」が26.5%で「要求通り」(25.9%)をわずかに上回った。「要求を上回った」ケースは4.8%に過ぎない。
賞与総額(原資)の決定方法では、業績連動方式を導入している企業は約6割(58.2%)。具体的な基準(複数回答)は、「営業利益を基準」が59.0%で最多、「経常利益を基準」(28.3%)、「生産高、売上高を基準」(15.1%)が続いた。なお、有期雇用社員・パートタイム社員等の処遇改善では、昇給制度を導入している企業は56.6%で、2022年度実施状況(年度内実施予定を含む)は、「据置き」が51.9%、「引上げ」が48.1%だった。
同調査結果は