レポート、「どうなる? 2023年の物価と家計負担!」

 第一生命経済研究所が発表した表題のレポートによると、2023年の物価の展望は、総合経済対策による電気・ガス代の価格抑制策の影響が反映されるため、特に2月分以降の消費者物価の伸び率も鈍化の可能性が高い。ただ、4月分からは多くの地域で電気料金の大幅値上げが実施される可能性が高いことや、政府による電気等の価格抑制策も今年9月までとされているため、エネルギー価格のピークアウトが遅れる可能性には注意が必要だ。

 岸田政権が昨年10月の政府小麦売渡し価格を据え置いたため、当初懸念されていた年明けにかけての小麦関連製品の大幅値上げは回避されそうだとみている。その分、今年4月の政府小麦売渡し価格は過去1年までさかのぼった平均価格で決まるため、4月の政府小麦売渡し価格にはウクライナ危機直後の小麦価格の上昇分が反映されることには注意が必要だとしている。

 これまで物価上昇の主因となってきた為替も2023年以降はもう一段の円高に向かいそうだ。というのも、既に米国経済はこれまでの金利上昇などの影響を受けて減速しており、2023年の米国経済はさらに減速の度合いが強まることが予想される。となれば、これまで立て続けに急速な利上げを実施しているFRBも、今年前半中に利上げを打ち止め、景気悪化の度合い次第では年内に利下げに転じる可能性すらある。

 円安の要因となっていた日本の経常黒字の縮小も、輸入一次産品価格が円安の進行以上に下落していることからすれば、日本の貿易赤字も縮小に向かうとみている。さらに、サービス収支の赤字も今後の水際対策の緩和に伴うインバウンド消費の増加などにより縮小に向かう等から、経常収支の黒字が拡大に転じることが2023年の円高要因となる。また、日銀人事も円高圧力となる可能性があると予測する。

 日経センター公表の最新12月分のESPフォーキャスト調査通りに今後も消費者物価が推移すると仮定すれば、2022年のインフレ率は+2.3%に対して2023年のインフレ率は+1.9%に鈍化。そして、家計の1人あたり負担増加額は2022年に前年から+2.3万円(4人家族で9.1万円)増加することに加え、2023年は+1.9万円(同7.9万円)増加と試算。今年の春闘の結果次第では、家計の実質負担はさらに増えることに注意を喚起している。

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https://www.dlri.co.jp/files/macro/227157.pdf