ゾンビ企業率は12.9%と全企業の1割強が該当していることが、帝国データバンク(TDB)が発表した「ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向)で明らかになった。これは、国際決済銀行(BIS)の定める「ゾンビ企業」の基準、「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立 10 年以上」の定義に基づき、2021年度のゾンビ企業率を算出したもの。
TDBが保有する企業財務データベース「COSMOS1」(2022年11月時点)において、「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が判明、かつ設立10年以上」の企業は9万4885社ある。そのうち、「3年連続でICRが1未満、かつ設立10年以上」の企業は1万2256社で、その割合がゾンビ企業率12.9%となる。2020年度と比較すると1.5ポイントの上昇となった。
全企業のおよそ1割強が、「ゾンビ企業」に該当することになる。これは過去の推移でみると、2007年度や2013~14年度と同等の水準だ。前者は2003年春から続いた景気回復が不動産バブルの崩壊で終わりを告げた、リーマン・ショック前夜の時期。その後、企業のリスケ(返済のリスケジュール)を“解禁”した2009年12月の中小企業金融円滑化法施行によって、ゾンビ企業率は上昇を続け、2011年度に19.8%のピークをつけた。
対照的に、後者はゾンビ企業率が下降線を辿った時期のもの。東日本大震災後の経済・社会的混乱と予想された倒産急増を円滑化法の延長や緊急保証、2012年末に始まったアベノミクスの景気浮揚策で抑え込み、“倒産予備軍”30~40万社の延命策とも言われながら、結果としてそのほとんどが倒産を回避。倒産件数は2014年度に1万件を割り込み、その後は 8000件台で定着した。
2021年度のゾンビ企業率は12.9%だが、これを業種別でみると、「小売」が 19.5%でトップ。つまり、生存企業に占めるゾンビ企業の割合がもっとも高い業種が「小売」ということになる。次いで「運輸・通信」が 17.2%、「製造」が 14.4%で続き、この3業種が全体の12.9%を上回っている。 同じく従業員数別にみると、「5人以下」が18.4%でトップ。次いで「6~20 人」が14.4%と、ゾンビ企業率が全体の 12.9%を上回る結果となった。
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