帝国データバンクが発表した「2023年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1510社)によると、2023年の景気見通しは、「回復」局面になると見込む企業が2022年の景気見通し(2021年11月実施)から▲10.8ポイント減の11.5%となった。また、「踊り場」局面は39.1%と2022年見通し(40.9%)より若干減少。また「悪化」局面を見込む企業は、同12.7ポイント増の25.3%と4社に1社となった。
2023年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料(3つまで回答)は、「原油・素材価格(の上昇)」が72.7%(前年比▲9.8ポイント減)で突出して高かった。次いで、「為替(円安)」(43.5%、同24.6ポイント増)や「物価上昇(インフレ)」(33.3%、同15.9ポイント増)が前年より急増。そのほか「人手不足」(26.1%、同▲4.5ポイント減)やロシア・ウクライナ問題、東アジア情勢など「地政学的リスク」(18.5%、-)が上位に並んだ。
また、2021年見通しは5割以上、2022年見通しでは4割近くの企業が懸念材料に挙げていた新型コロナウイルスなどを含む「感染症による影響の拡大」は、15.4%と大幅に減少した。しかしながら懸念材料の6位にランクされ、2023年も少なからず新型コロナによる影響を受けると見込んでいる様子もうかがえた。さらに、2023年10月から制度が開始される「インボイス制度」についても12.3%の企業で懸念材料と見込んでいる。
今後、景気が回復するために必要な政策(複数回答)では、企業の7割超が2023 年の懸念材料とした「原材料不足や価格高騰への対策」が41.7%でトップ。以下、補助金・給付金などの「中小企業向け支援策の拡充」(35.3%)や「感染症の収束」(34.8%)、「個人消費の拡大策」(32.1%)が3割台で並んだ。さらに、「個人向け減税」(29.5%)や「人手不足の解消」(28.7%)、個人向け手当の創設など「所得の増加」(27.3%)が続いた。
「原材料不足・価格高騰」に対する政策が最重視されているなか、個人消費に関連する政策が上位に並んでいる。企業からも「個人消費の増加が第一歩と考えている。消費意欲の向上が図られない限り給付や所得を増やしても出し渋り、経済に回るキャッシュ増加が思うように見込めない可能性がある。消費型社会を構築することが長期的な景気改善につながるのではないかと考える」(土木工事、北海道)といった声もある。
同調査結果は