中小企業の約9割が何らかのリスクを認識~損保協

 日本損害保険協会が中小企業の経営者と従業員1031名を対象に実施した「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査」結果によると、事業活動を行っていく上で考えられるリスクとして、9割近く(86.6%)の企業が何らかのリスクを認識しており、そのうちの79.1%が「深刻に受け止めている」と回答した。特に、「自然災害」(51.8%)、「顧客・取引先の廃業等による売上の減少」(41.8%)、「感染症」(38.4%)が多く挙げられた。

 何らかのリスクを認識している893名がリスクに対して実施している対策は、半数以上(54.3%)が「損害保険への加入」と回答、以下、「貯蓄」(22.1%)、「補助金等の活用」(20.5%)が続いた。また、27.8%の勤め先の企業が、何らかのリスクにより「被害を受けたことがある」と回答。実際に被害に遭ったことがある企業が取っておくべきだった対策では、約半数(47.7%)が「損害保険への加入」に対して肯定的な回答をした。

 リスク別の損害保険への加入率では、「勤務中や移動における損害賠償」(62.8%)、「製造物に関する損害賠償」(61.1%)、「自然災害」(56.4%)に対して60%前後。一方で、その他のリスク(「従業員からの損害賠償請求」、「サイバーリスク」、「環境問題」、「情報の漏洩」など)に対しては、「損害保険への加入」率は高くても 20%台と、損害保険による対策が定着していないことが考えられる。

 何らかのリスクを認識している893名のうち、「特に対策/対処をしていない」との回答は2021年度の調査結果から9.1ポイント減少し27.5%となった。対策をしていない理由としては、「対策をする費用に余裕がないため」(36.2%)が最多で、次いで、「具体的な対策方法が分からないため(相談先が分からない)」(31.4%)、「リスクによって生じる影響・損失が分からないため」(24.6%)が続いた。

 近年、サイバー攻撃は巧妙化、悪質化が進み、脅威が高まっているが、「サイバーリスク」に対する経営課題としての関心度は、2021年度の調査結果から3.9ポイント増加し84.1%、「サイバー保険」の認知度も5.3ポイント増加し41.9%となり、サイバーリスクに対する関心が高まっている。懸念するサイバーリスクは、「データ漏洩」(18.5%)、「ランサムウェア攻撃(の増加)」(8.8%)「なりすまし攻撃(の増加)」(7.6%)と続く。

 同調査結果は

https://www.atpress.ne.jp/releases/338445/att_338445_1.pdf