国税庁は所得税還付申告に関する対応を公表した。所得税の申告手続きでは、例えば、源泉徴収された報酬に係る事業収入に一定の必要経費が生じた場合や、年末調整された給与収入があり、年末調整で清算されていない各種控除を追加する場合に、還付申告書を提出すれば所得税の還付が受けられるが、昨今、所得税の還付申告の中には、架空の源泉徴収税額や各種控除額を記載し、不正に還付を受けようとするものなどが見受けられると指摘。
このため、国税当局としては、各種情報に照らして必要があると認められる場合は、還付金の支払いを一旦保留しつつ、還付申告の内容が適正であるかを確認するため、勤務先等に給与等の支払実績の確認を依頼することや、職員が自宅等に直接赴き実地で調査を行うなどにより確認を行っている。また、確定申告書(還付申告書を含む)を提出した納税者の本人確認は、申告書に記載されたマイナンバーなどにより行っているとした。
そのため、還付申告書にマイナンバーが記載されていない場合には、不正還付防止のため、納税者への連絡も含め、必要な確認に時間を要するため、還付を保留する期間が長期にわたる場合があるほか、還付の手続きを中断する場合があるとして、理解と協力を求めた。なお、国税当局としては、不正還付申告書を的確に把握するため、上記の実態確認やデジタル技術の活用による審査を行うなど、厳格な対応を引き続き行っていく方針という。
実態確認等の結果、悪質な不正還付申告書の提出が確認され、詐欺罪等に該当すると判断した場合には、刑事上の責任追及の要否を検討した上で、告訴等を行うなど都道府県警察との連携強化にも取り組んでいる。ちなみに、2021事務年度における不正還付申告書の課税処理をみると、対前年比4.9%増の191件の処理を行い、同67.0%増の2億712万円の税額を追徴している。