居酒屋チェーン上場16社、コロナ前から1274店減

 東京商工リサーチが発表した「大手居酒屋チェーンの店舗数調査」結果によると、コロナ前(2019年12月)を起点に、上場する大手居酒屋チェーンの2022年9月末までの店舗数を調査したところ、居酒屋チェーンの店舗数は、コロナ前に比べて大半は減少していることが分かった。だが、一部の居酒屋チェーンは店舗数を増やしており、居酒屋チェーンの出店施策も“二極化”が加速している。

 コロナ禍で制限された飲食店の営業時間が緩和され、半年が経過。客足は戻りつつあるが、9月末の大手居酒屋チェーン16社の店舗は5387店で、2019年12月末(6661店)から3年間で▲1274店減(▲19.1%減)となった。忘年会シーズンを迎えるが、約3年間のコロナ禍で浸透した根強い感染防止の意識や、若者を中心に飲みニケーション不要論も広がり、大人数での宴席需要や仕事終わりの“ちょっと一杯”のハードルは高いままだ。

 上場居酒屋チェーン主要16社の店舗数は、2020年(1~12月)は4月以降の緊急事態宣言による小売・外食・サービス業の休業も影響し、585店が閉店。2021年(同)は、度重なる緊急事態宣言等で外出自粛が定着し、390店が閉店した。2022年は、3月に全国でまん延防止等重点措置が解除されたが、1~6月188店、7~9月111店、合計299店が閉店し、店舗撤退に歯止めが掛かからない。まだ、一部を除いて店舗の“スクラップ”は続きそうだ。

 コロナ前から最も店舗が減少したのは、居酒屋「はなの舞」や「さかなや道場」を運営するチムニーの▲250店減(738店→488店)。次いで、「土間土間」や「甘太郎」を展開するレインズインターナショナル(親会社コロワイド)の▲245店減(1839店→1594件)、「庄や」運営の大庄▲197店減(487店→290店)と続く。コロナ前から店舗数が50%以上減少したのは1社、30%以上50%未満が4社、10%以上30%未満が5社、10%未満が3社。

 逆に、コロナ前から店舗を増やしたのは3社あった。店舗を増やした3社は、串カツ田中HDの16.1%増(273店→317店)、「肉汁餃子のダンダダン」を運営するNATTY SWANKYHDの44.1%増(86店→124店)、餃子や韓国料理など料理別で居酒屋業態を展開する一家HDの7.2%増(69店→74店)。いずれもジャンルに特化したメニューの提供や、少人数での来店を中心に受け入れる業態で増店が目立つ。

 東京では約2年ぶりに「Go To Eatキャンペーン」Tokyo食事券の販売がスタートし、外食の需要喚起を図っている。しかし、新型コロナ感染拡大の“第8波”の動きや、春以降の物価高や外食メニューの値上げなど、飲食業は課題が山積している。実質賃金が目減りし、消費者の外食マインド低下も危惧されており、大手居酒屋チェーンは当面、守りの施策が続きそうだ。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221121_01.html