中途退職で年末調整を受けていないときは確定申告で

 給与所得者は、通常所得税を毎月の給料やボーナス等から源泉徴収されている。この源泉徴収は概算で行うことから、源泉徴収された所得税の合計額は、必ずしもその人が納めるべき年税額と一致せず過不足が生じる。そこで、年末調整によってこの過不足額を精算することになる。しかし、年の途中で退職したまま再就職しない場合には年末調整を受けることができず、所得税が納め過ぎとなる場合がある。

 問題となるのは、中途退職者だ。大部分の給与所得者は年末調整によって所得税の納税が完了するので、原則として確定申告の必要はないが、年の途中で退職すると所得税が納め過ぎになる場合がある。このうち、中途退職した同じ年に再就職をした場合は、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整をすることになっているので、所得税の納め過ぎは解消する。

 しかし、中途退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けられないので、所得税は納め過ぎのままとなる。この納め過ぎの所得税は、翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられる。この申告は、退職した翌年以降5年以内であれば行うことができるが、申告に必要な添付書類がそろい次第早めに行うことをお勧めしたい。申告等は、その年の翌年1月1日から5年間提出することができる。

 申告期限までに、確定申告書(還付申告書)を提出するのだが、その際、確定申告書の作成に便利なのが、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」だ。同作成コーナーでは、画面の案内に沿って金額を入力することにより自宅等で確定申告書等の作成・提出が簡単にできる。必要な付表や明細書も、入力することで自動的に作成されるので、国税庁では、その利用を呼びかけている。

 なお、給与所得のある人について、2019年4月1日以後、給与所得の源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となっている。ただし、確定申告書を作成する際には引き続き給与所得の源泉徴収票が必要となるので、税務署等へ行き、確定申告書の作成や相談をする際には忘れずに給与所得の源泉徴収票を持参する必要がある。