原材料費や光熱費、輸入コストなど、企業におけるさまざまなコストの高騰が続いているなか、帝国データバンクが実施した「コスト高騰による企業への影響アンケート調査」結果(有効回答数1452社)によると、主要な事業についての状況は、「影響はあるが、現時点では余裕がある」とした企業は 33.4%だった。一方、半数超が内部留保の取崩しやコストの削減などで対応し、「厳しいが事業の継続は可能」(54.3%)と認識していた。
さらに、「すでに限界」とした企業は6.5%となった。内訳をみると、「すでに限界のため、別の仕入先を検討中」(2.5%)、「すでに限界のため、主力部門以外の強化・主力部門の縮小/撤退、または業態転換を検討中」(1.5%)のように、対策を打とうとしている企業もみられたが、2.5%の企業が「すでに限界であり、企業の存続危機に陥っている」と考えていた。他方、「影響を受けていない」は3.7%、「分からない」は2.0%となった。
「すでに限界」の企業を規模別にみると、「大企業」では2.1%と全体(6.5%)を4.4ポイント下回った。他方、「中小企業」では7.2%、うち「小規模企業」は11.4%となり、企業規模が小さいほどすでに限界に達した企業の割合が高まっている。内訳をみると、特に財務力が比較的弱い「小規模企業」で「すでに限界であり、企業の存続危機に陥っている」とした企業は約5%に及んだ。
「すでに限界」とした企業を主な業種別にみると、「建材・家具、窯業・土石製品製造」が12.5%と全体(6.5%)を6.0ポイント上回った。また、「化学品製造」は12.2%、「不動産」及び「飲食料品・飼料製造」はいずれも9.4%となった。さらに、「すでに限界」と「厳しいが事業の継続は可能」を合計すると、「飲食料品・飼料製造」(81.1%)は8割超となり、多くの企業で厳しい状況にある様子がうかがえた。
岸田政権発足後2度目となる経済対策が10月28日に閣議決定された。具体的な内容として、家庭や企業への電気料金の補助や、公正取引委員会の執行体制の強化などといった適正な価格転嫁に向けた環境整備の推進が掲げられている。こうした対策に加え、業態転換に関する支援策のほか、企業の生産性や商品の付加価値の向上につながる投資や研究開発への支援策など、多方面にわたる対策のさらなる強化が求められる。
同調査結果は