日本能率協会が企業経営者を対象に実施した「当面する企業経営課題に関する調査」結果(有効回答数689社)によると、各社における DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組み状況は、「既に取組みを始めている」企業が55.9%と、半数以上の企業がDXへの取組みを始めていることが分かった。DXへの関心はコロナ禍による一過性のものではなく、企業として当然取り組むべきこととして定着してきていることがうかがえる。
従業員規模別にみると、取組みを始めている企業は、大企業では8割超(82.1%)と高めになっているほか、中堅企業でも58.3%と半数を超えている。中小企業では取組みを始めている企業は36.1%にとどまるが、「検討を進めている」(21.7%)、「これから検討する」(18.3%)も合算すると76.1%となり、関心の高さがうかがえる。「既に取組みを始めている」企業では、「成果が出ている」との回答が 70.7%と、約7割となった。
また、「既に取組みを始めている」と回答した企業が、DXの取組みで重視していることについては、特に、「業務プロセスの効率化・高度化」を重視しているとの回答(「非常に重視」、「重視」、「やや重視」の合計)が 100.0%と、回答企業全社が重視していた。その内訳をみても、「非常に重視」が 64.9%、「重視」が 29.4%、「やや重視」が 5.7%と、重視度の高さがうかがえる。
「既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」も 95.8%が重視しており、DXの取組みが、足元の効率化だけではなく、既存事業の付加価値向上にも広く必要とされていることがわかる。そのほか、「抜本的な事業構造の変革」は 90.1%が重視と、昨年と比較して大幅に増加した。DXの取組みを時代の変化に対応する事業構造改革に活かしていくという、企業の積極的な姿勢がうかがえる。
DXに「既に取組みを始めている」と回答した企業のDX推進の課題については、「DX推進に関わる人材が不足している(育成が思うようにできていない)」が 85.9%、「DX推進に関わる人材が不足している(採用が思うようにできていない)」が 83.1%と、DXを推進する人材への課題感が高いことがわかる。昨今の人材不足の状況の中で、採用・育成どちらにおいても引き続き多くの企業が人材への課題感を持っていることがうかがえる。
同調査結果は
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2022/11/221104_keieikadai_DX_release_.pdf