信金中央金庫 地域・中小企業研究所では、全国の信用金庫の協力を得て「全国中小企業景気動向調査」を四半期ごとに実施しているが、近年、SDGs(持続可能な開発目標)が社会全体に広がりつつある一方で、中小企業においては、大企業と比較して認知度や取組み状況に遅れがみられるとの指摘もある。そこで今回(2022年7~9月)は、中小企業におけるSDGsの取組状況について調査した(有効回答数1万3575社)。
SDGsへの認知度は、「内容までよく知っている」が19.0%、「意味はある程度わかる」が60.1%となり、合計で約8割の企業に認知が広がっていた。SDGsの情報源は、「報道機関(テレビ、新聞等)」が 76.1%と圧倒的に高かった。SDGsの情報源と今期の業況判断DIをクロス集計したところ、業況は「報道機関以外の情報源」が最も高く、SDGsについて、積極的に情報を取りに行っている企業のほうが、業況が良い傾向にあった。
調査員のコメントからは、「取引先が大手メーカーであることから、SDGsに対する意識は高いものの、自社対応には人員、資金面で難しいと感じる。信用金庫からの支援が必要」(工作機械卸 大阪府)や「SDGsについてはある程度は理解できているが、外部機関からの経営者向け研修があれば、さらに理解が進むと思う」(食品製造 兵庫県)など、信用金庫に対し情報提供や支援を望む声が上がっていることを確認できる。
SDGsの理念と一致する取組みの実行状況では、「省エネ、節電、再生可能エネルギーの使用」が 54.9%と最多。次いで「再生資源や未利用資源の利用、廃棄物削減、製品の長寿化や修理」(26.1%)であり、全般的に省エネ・省資源への取組みが多い。また、SDGsの取組みの実施状況別に業況判断DIをみると、「(水資源)水使用量削減、排水管理」を除く全ての取組みにおいて、実行している企業群のほうが業況が良くなっている。
調査員のコメントからは、「SDGs関連商品の取扱いを始めており、新たな販路獲得を目指している」(ポリエチレンフィルム卸 栃木県)や、「SDGsについて、環境にやさしい工法を開発するなど積極的に取り組んでいる。今後も企業としての価値を向上させるため積極化する」(土木一式工事 三重県)のように、SDGsへの取組みを積極化させることで、本業につなげている企業の存在も確認できるとしている。
信金中金は、「世界的なSDGsへの取組みの流れを受け、中小企業においても取組みへの重要性は今後高まってくることが予想される。信用金庫としては、SDGsへ取り組む必要性を周知するとともに、情報提供に留まらず、その企業に合った取組方法を一緒に考えていくような支援を行なうべく、サポート体制を構築していくことが求められるだろう」とコメントしている。
同調査結果は