東京商工リサーチが発表した「過剰債務に関するアンケート調査」結果(有効回答数5189社)によると、「コロナ前から過剰感がある」は11.3%、「コロナ後に過剰となった」は19.4%で、合わせて30.8%の企業が「過剰債務」と回答した。「過剰債務」と回答した企業の割合は、前回調査(2022年8月)の29.5%から1.3ポイント悪化した。同調査は、負債比率や有利子負債比率など財務分析の定量数値に限定せず、債務の過剰感を聞いたもの。
規模別で、「過剰債務」との回答は大企業が16.2%だったのに対し、中小企業は33.0%と、2倍の差が開いた。「過剰感があったが、コロナ後に解消」は、大企業が2.0%、中小企業が3.4%だった。また、「コロナ前から過剰感」及び「コロナ後に過剰感」と回答した企業を業種別で分析(業種中分類、回答母数20以上)した結果、「過剰債務率」の最高は、「娯楽業」の62.5%(24社中、15社)だった。
以下、「飲食店」の62.0%(29社中、18社)、「自動車整備業」と「農業」の各57.1%(21社中、12社)、旅行や葬儀、結婚式場などの「その他の生活関連サービス業」の55.5%(27社中、15社)と続く。対面型サービス業が上位を占めているが、「印刷・同関連業」の51.2%(78社中、40社)、「繊維・衣服等卸売業」の49.0%(55社中、27社)のように、産業構造の変化に晒されている業種も上位だった。
「コロナ前から過剰感」、「コロナ後に過剰感」との回答企業の事業再構築への取組みは、「事業再構築の意向はない」は28.0%。一方、過剰債務が足かせで「取り組むことができない」は13.3%、「取組み規模を縮小した」は21.4%。過剰債務を抱える企業のうち、34.7%が事業再構築にマイナスの影響を訴えている。規模別では、過剰債務が事業再構築の足かせになっている企業は、大企業で30.9%、中小企業で35.0%だった。
政府は、9月8日に「中小企業活性化パッケージNEXT」を公表し、「収益力改善支援実務指針」(仮称)を策定するなど、中小企業の「稼ぐ力」の向上を打ち出した。また、私的整理の法制化に向けた検討も急ピッチで進んでいる。ただ、現在の過剰債務は過去の企業支援の帰結という側面もあり、その間に企業が自走する力を失ったとの指摘もある。今後の支援の在り方を巡っては、こうした点も踏まえ、一貫性を持った政策が求められる。
同調査結果は