相次ぐ食品値上げ、家計負担は年間7万円増加と試算

 原材料価格の高騰や急激な円安の進行を受けた食品の「値上げラッシュ」で、家計の負担が大きくなっている。帝国データバンクでは、同社が9月1日にまとめた、上場する国内の主な食品や飲料メーカー105社で今年すでに値上げしたか、年内に値上げする予定の食品累計2万56品目の値上げ率平均と、総務省「家計調査」における二人以上世帯の2020年度消費支出データを基に、食品値上げによる家計支出額の影響について試算した。

 その結果、食品値上げによる1世帯あたりの家計負担額は1ヵ月あたりで平均5730円、年間で6万8760円増加することが分かった。年間の消費支出額(平均約333万円)のうち約2%が、食品値上げによって圧迫される可能性がある。家計負担額を食品分野別にみると、最も負担額が増加は「加工食品」で2560円の負担増。加工食品では9月時点で平均16%の値上げ幅となるなか、多くの家庭で使用頻度が高い冷凍食品の値上げが特に響いた。

 冷凍食品では、食用油や小麦などの食材高に加え、原油高に伴う包装資材などのコスト高を背景に大手メーカー各社で価格が大幅に引き上げられており、家計の支出を圧迫した。「酒類・飲料」では1285円の負担増となり、1世帯当たり350ミリリットル缶ビール(約200円)6本分相当の負担感が発生する可能性がある。「菓子」(814円増)、「調味料」(524円増)も、家計負担額は1000円に満たないものの大きなウェイトを占めた。

 「乳製品」(234 円増)はチーズ類の値上げが中心となっているものの、11月以降は飼料価格高騰などを背景に牛乳製品などでも値上げが明らかになっており、負担額はさらに増加する可能性がある。また、年収別でみると、「1075万円以上」の高収入世帯では食品の値上げによる負担額は年間8万9150円となり、消費支出額に対する負担割合は1.7%にとどまった。

 一方、「329万円未満」の低収入世帯では5万1423円、同2.3%の負担増となった。ただ、年収329万円未満の低収入世帯と1075万円以上の高収入世帯では月間の消費支出額に23万8900円の差があるのに対し、食品値上げによる家計負担増加額は同3100円の差にとどまった。食品値上げによる負担感の実感は、支出に占める食費の割合が高い低収入世帯ほど相対的に強く、大きな影響を及ぼす可能性がある

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220907.pdf