上場株式等を、金融商品取引業者等を通じて譲渡したこと等により生じた譲渡損失の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額及び配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算ができる。また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により、上場株式等に係る譲渡所得等・配当所得等の金額から繰越控除することができる。
上場株式等に係る譲渡損失の金額については、一般株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することはできない。2019年分以前の各年分において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額で2020年分に繰り越されたものについては、2020年分における上場株式等に係る譲渡所得等・配当所得等の金額から繰越控除することはできるが、一般株式等に係る譲渡所得等の金額から繰越控除することはできないこととされている。
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除については、まず上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、上場株式等に係る配当所得等の金額から控除する。繰越控除については、例えば2018年以降の年分に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額で2021年分に繰り越されているものが、2021年分の上場株式等に係る譲渡所得等・配当所得等の金額から控除することができる。
この特例の適用を受けるための手続きについては、この損益通算の規定の適用を受けようとする年分の確定申告書に、この規定の適用を受けようとする旨を記載し、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」及び「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の添付がある確定申告書を提出しなければならない。
なお、控除しきれない譲渡損失の金額があり、翌年以後にその譲渡損失の金額を繰り越す場合には、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税等につき、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」及び「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の添付がある確定申告書を提出する手続きが必要となる。
また、その後の年において連続して「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」の添付のある確定申告書の提出も必要だ。さらに、この繰越控除を受けようとする年分の所得税等につき、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」及び一般株式等に係る譲渡所得等の金額または上場株式等に係る譲渡所得等の金額がある場合には「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の添付のある確定申告書を提出しなければならない。