円安により6割超が原材料高騰など業績に悪影響

 帝国データバンクが発表した「円安による企業業績への影響調査」結果(有効回答数1万1503社)によると、円安が自社の業績に与える影響は、「(大いに+どちらかといえば)プラス」は4.6%にとどまる一方、「(大いに+どちらかといえば)マイナス」は 61.7%となり、企業の6割超が円安を自社業績にマイナスの影響があると考えていた。また、「どちらともいえない」は7.9%、「為替は業績には影響しない」は13.5%だった。

 業績へマイナス影響がある主な業種では、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(87.6%)や「専門商品小売」(83.9%)、「飲食料品・飼料製造」(83.3%)、「飲食店」(83.0%)、「飲食料品卸売」(82.4%)などが8割を超えており、特にアパレル関連や飲食料品関連の業種でマイナスの影響を与えている。さらに、「運輸・倉庫」も7割を超えており、円安による悪影響がバリューチェーン全体に広がっている様子がうかがえる。

 円安が自社の業績に「マイナス」の影響を与える企業のその理由(複数回答)は、「原材料価格の上昇でコスト負担が増えた」が 79.2%と約8割に達し、さらに「燃料・エネルギー価格の上昇でコスト負担が増えた」(72.6%)も7割を超え、原材料価格や燃料・エネルギー価格の上昇を挙げる企業がいずれも7割台にのぼるなど、突出して高かった。次いで、「コストを販売・受注価格に転嫁できず収益が悪化した」(38.7%)が続いた。

 一方で、円安が自社の業績に「プラス」の影響を与える企業のその理由(複数回答)は、「海外での販売価格(現地通貨ベース)が下がり売上が増えた」が 26.3%とトップ。企業の4社に1社が、円安による海外での販売価格の低下を業績のプラス要因として実感している様子がうかがえる。以下、「海外事業の円ベース利益が増えた」(22.7%)、「取引先の業績が改善した」(20.5%)、「輸出競争力が高まり輸出が増えた」(20.3%)が続いた。

 ただし、プラスの影響で挙げる理由は企業規模による差が大きく、「海外事業の円ベース利益が増えた」は「大企業」(44.6%)が「中小企業」(18.2%)の2.5倍も高い。また「海外での販売価格が下がり売上が増えた」は、「大企業」(32.6%)が「中小企業」(25.0%)を7.6ポイント、「小規模企業」(18.1%)を14.5ポイント上回った。海外での販売や海外事業の円ベースの利益増は「大企業」を中心に表れている。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220805.pdf