公益法人協、「民による公益増進」後押しする改正要望

 公益法人協会はこのほど、(1)公益法人の活動基盤を強化し、公益活動を促進するための税制、(2)寄附文化を醸成し、寄附を通じて社会参加を促進するための税制、を中心とした2023年度税制改正要望を取りまとめ公表した。交易法人協会は、公益法人の健全な育成発展に貢献し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的として、1972(昭和47)年、総理府(現・総務省)の許可により設立された。

 公益法人の活動基盤を強化し、公益活動を促進するための税制では、近年大規模災害等が増えていることから、天災発生時において被災者・被害者に対する支援活動を行う公益法人等への指定寄附金が速やかに適用できるように制度化することや、法人の寄附金に係る法人税法上の特別損金算入限度額について、拡大することや繰越控除を認めることなど、法人の寄附金特別損金算入限度額の拡充を掲げた。

 さらに、仕入控除税額を算出する際の消費税制の特例において、特定収入に該当しない寄附金等には、使途に関連する適正な管理費と行政庁が認めた場合は、その管理費を除いた金額分を対象とする取扱いとすることや、公益法人が実施する公益目的事業の用に供する土地、建物等不動産に係る固定資産税については非課税措置を講じること、などを要望事項として挙げている。

 また、(2)の要望では、現在2000円を超える寄附を行った場合、寄附金控除の算定にあたって2000円の控除が行われることとなっており、少額寄附に対する還付率の低いことが寄附を行うインセンティブの阻害要因の一部となっているとして適用下限額の撤廃や、また公益社団・財団法人等に資産に係る贈与、遺贈を行った場合は、みなし譲渡所得から3000万円を上限に特別控除できる特例の新設を盛り込んでいる。

 上記のほか、来年10月からスタートする消費税のインボイス制度について、今般の消費税改正の根幹にかかわることであり、経過措置も段階的に認め、事業者が新たな環境に対応する時間もとっていることは十分承知しているものの、公益活動を担う法人の中には小規模な団体も多く、取引先が免税事業者となる法人にとっては、インボイス制度の導入により税負担が増加するケースも想定されることから、経過措置の延長を求めている。

 2023年度税制改正に関する要望は↓https://kohokyo.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/07/R5zeikaiyoubo.pdf