「ゾンビ企業」16.5万社と推計、全企業の1割強が該当

 「ゾンビ企業」とは、字義からは実質的に倒産状態であるにもかかわらず、なお営業を継続している企業全体に当てはまる。帝国データバンクは、国際決済銀行(BIS)の基準である「3年以上に亘ってインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)1未満、かつ設立 10 年以上」の企業を「ゾンビ企業」と仮定して、利払いの負担を事業利益で賄えない「ゾンビ企業」の現状を分析調査し発表した。

 それによると、帝国データバンクが保有する企業財務データベース「COSMOS1」において、「3年連続でICRが判明しており、かつ設立10年以上」の企業は10万6918社あり、そのうち「3年連続でICRが1未満」の企業は1万2037 社で、その割合は11.3%となった。次に、同様のやり方で算出した2007年度以降の「ゾンビ企業」率の推移をみると、2008年秋のリーマン・ショック以降、「ゾンビ企業」の比率は年々上昇している。

 2011年度には19.8%と2割弱に達した。これは同時期に、全国の企業倒産件数が年間1万1000~1万3000 件に達するなかで導入された中小企業金融円滑化法により、延命した企業が多かったためと分析。その後、2010年台後半は10%前後で推移してきたが、2020年度は11.3%と2019年度の9.9%から1.4ポイント上昇。コロナ禍におけるゼロゼロ融資をはじめとするコロナ関連融資などがその一因となっているとみている。

 次に、上記で算出した「ゾンビ企業」率をもとに実数を推計。ここでは帝国データバンクの調査活動によって経営実態のあることが実地に確認できている企業概要データベース「COSMOS2」を用い、その各年度の収録企業数にその年度の「ゾンビ企業」率を乗じ、その推移を示した。2020年度を例にみると、収録企業数146.6万社を母集団として「ゾンビ企業」率11.3%を当てはめると、ゾンビ企業は約16.5万社と推計している。

 なお、2020年度に「3年連続でICRが1未満、かつ設立10年以上」の「ゾンビ企業」1万2037社について業種別にみると、「建設」が構成比 34.3%で最も多く、次いで「製造」(同 20.0%)、「卸売」(同 18.9%)、「サービス」(同 10.4%)が続いた。特に、「建設」の内訳をみると、鉄骨・鉄筋工事などの「職別工事」が13.9%、一般土木建築工事などの「総合工事」が12.6%、電気工事や管工事などの「設備工事」が7.8%だった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220707.pdf