資源価格高騰、8割超の企業で経営に「マイナス」

 帝国データバンクが発表した「原油・LNG価格高騰に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1337社)によると、高水準となっている原油価格やLNG価格が企業経営へ「直接的にマイナス影響がある」と答えた企業は48.2%で最も高くなった。また、直接間接を問わずマイナス影響が出ている企業は86.3%を占めた。直接間接でプラスの影響があると答えた企業は3.7%、「影響はない」が5.9%、「分からない」が4.4%。

 業界別で、「直接的にマイナス影響がある」の割合が高かったのは、「運輸・倉庫」の79.3%、以下、「農・林・水産」(69.4%)、「製造」(55.1%)、「建設」(50.4%)、「小売」(50.1%)と続き、50%以上となった。また、原油価格や LNG 価格が高騰を続けるなかで、現在実施している対策(複数回答)は、「節電・節約」(49.5%)がトップ、以下、「エネルギーコスト上昇分を販売価格へ転嫁」(21.8%)、「仕入先・方法の変更」(10.7%)が続いた。

 「特に対応しない」(20.9%)と回答した企業も一定数存在し、特に小規模企業では25.3%を占め、6月時点では4社に1社で対応策をとっていなかった。業界別では、「節電・節約」の割合が高かったのが「農・林・水産」(71.0%)、「製造」(58.8%)。「エネルギーコスト上昇分を販売価格へ転嫁」の割合が高かったのが、「運輸・倉庫」(33.7%)、「製造」(32.0%)となり、直接的にマイナスの影響が大きい業界ほど対応策を講じている。

 今後、原油価格やLNG価格の高騰が継続した際に実施する対策(複数回答)は、「エネルギーコスト上昇分を販売価格へ転嫁」(29.6%)が最多、次いで「節電・節約」が28.3%、「仕入先・方法の変更」が12.3%で続いたほか、企業の1.6%が「廃業の検討」を考えていた。また、原油価格、LNG価格それぞれで、現在の高水準な価格が続くと考える期間は、「1年程度」が原油(33.5%)、LNG(30.8%)ともに最も高い割合となった。

 原油価格・LNG価格の高騰が、幅広い業界の企業にマイナスの影響を与えている。特に運輸業や製造業者など、燃料費のコスト負担が従前から大きい業界ほど影響も大きく、企業業績を押し下げている可能性がある。節電・節約によって急場をしのぐ一方で、今後は原油・LNG価格高騰の影響を販売価格に転嫁する動きが強まるとみられ、直接的な影響の少ない業界にも問題は広がる可能性が高い。

 同調査結果は↓https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220708.pdf