「後継者難倒産」が急増、上半期で初の200件超え

 東京商工リサーチが発表した「2022年上半期(1~6月)の『後継者難』倒産の状況調査」結果によると、同期の『後継者難』倒産は224件(前年同期比17.8%増)と急増し、上半期では調査を開始した2013年同期以降、初めて200件台に乗せた。2022年上半期の企業倒産全体(3060件)の7.3%を占め、上半期では初めて7%台に乗せ、後継者問題が経営の重要な位置付けとなっていることを示している。

 代表者の病気や死亡が事業継続を断念する大きな要因になり、後継者不在は事業規模を問わず経営上の大きなリスクになっている。特に、金融機関は企業の事業性評価の際、代表者の年齢や後継者(候補)の有無も判断材料にしており、後継者問題は企業にとって将来を見据えた設備投資などの長期資金の借入や生産性向上など、経営に直結する施策にも影響を及ぼしかねない。

 要因別では、最多が代表者などの「死亡」の122件(前年同期比25.7%増)で、調査を開始した2013年以降では初めて100件台に乗せた。『後継者難』倒産に占める構成比は54.4%で、前年同期の51.0%より3.4ポイント上昇。また、「体調不良」は71件(同24.5%増、構成比31.6%)だった。代表者などの「死亡」と「体調不良」は合計193件(前年同期比25.3%増)で、前年同期の154件を超え、最多を更新した。

 産業別は、10産業のうち、農・林・漁・鉱業、金融・保険業、不動産業を除く、7産業が前年同期を上回った。最多は、「サービス業他」の54件(前年同期比35.0%増)で、上半期では4年連続で前年同期を上回り、調査を開始した2013年以降で初めて50件台に乗せた。次いで「建設業」が51件(同30.7%増)で、2年ぶりに前年同期を上回り最多を記録した。一方、「不動産業」は7件(同▲50.0%減)で、4年ぶりに前年同期を下回った。

 形態別は、最多が「破産」の206件(前年同期比19.7%増、構成比91.9%)。また、特別清算が6件(前年同期12件)で、消滅型の倒産が212件(同184件)と、ほとんどを占めた。再建型の「会社更生法」はゼロ、「民事再生法」は1件で各前年同期と同件数。業績が厳しさを増すなか、後継者の育成や事業承継の準備まで手が回っていない。代表者に不測の事態が生じた場合、事業継続が難しく、「破産」を選択するケースが大半となっている。

 同調査結果は↓https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220714_02.html