譲渡制限解除後の株式、特定口座へ受入れ可能と判断

 従業員持株会を通じて取得した譲渡制限付株式について、譲渡制限解除後の特定口座への受入れは可能――。これは、国税庁がこのほど文書回答事例としてホームページ上で明らかにしたもの。事前照会したA社では、従業員の財産形成の一助として同社株式の保有を奨励しており、従業員が定期的な金銭拠出により取得した同社普通株式(譲渡制限なしの上場株式、以下、通常株式)は、従業員持株会の通常口座で管理している。

 A社はこの度、従業員持株会員のうち一定の事項に同意する者(対象会員)を対象に、一定期間の譲渡制限のある普通株式(本件株式)を交付する制度を導入する予定で、本制度では、第三者割当により交付、また、交付を受けた本件株式については、譲渡制限期間中は本件株式専用口座にて管理、譲渡制限解除後は持株会通常口座へ移管し、通常株式と併せて管理することとしている。

 ところで本制度においては、譲渡制限が解除された本件株式の持株会通常口座への移管後は、会員が自己の判断により株式を持株会通常口座から引き出して自己の証券口座へ移管でき、また、本件株式の譲渡制限期間の満了前に会員が定年退職等により持株会を退会する場合は、本件株式の譲渡制限を解除した上で、原則として本件株式専用口座から(持株会通常口座を経由せずに)直接本件対象会員の証券口座へ本件株式の全部が移管される。

 特定口座に受入れ可能な株式は一定の上場株式等に限られるが、この「一定の上場株式等」について、受入れ規定では、上場株式等を発行する会社の従業員等が、会社の他の従業員等と共同して、会社が発行する上場株式等の買付けを一定の計画に従って個別の投資判断に基づかずに継続的に行うことを約する契約に基づき取得した上場株式等で、特定口座への受入れを、持株会の口座から特定口座への振替の方法により行うものが挙げられている。

 A社は、譲渡制限が解除された本件株式について、持株会契約に関する要件、特定口座への振替に関する要件をいずれも充足しているとして、持株会通常口座又は本件株式専用口座から本件対象会員の特定口座に受け入れ可能であるとして取り扱ってよいか照会したところ、東京国税局は、照会に係る事実関係を前提とする限りA社の意見のとおりで差し支えないと回答している。

この件は↓

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/joto-sanrin/220623/index.htm