周知のように、2019年10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%へ引き上げられ、この税率引上げと同時に消費税の軽減税率制度が実施されている。適用開始日以後に行われる資産の譲渡等、課税仕入れおよび保税地域から引き取られる課税貨物に適用される税率は、標準税率が10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)、軽減税率が8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)となる。
軽減税率の対象となるのは、まず、「飲食料品(酒類を除く)」の譲渡(販売)がある。飲食料品とは、食品表示法に規定する食品をいい、一定の一体資産を含む。なお、外食やケータリング等は軽減税率の対象には含まれない。食品表示法に規定する食品とは、人の飲用または食用に供されるものをいい、医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品が含まれず、食品衛生法に規定する添加物が含まれる。
上記の「一体資産」とは、例えば、おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、その一体となっている資産に係る価格のみが提示されているものをいう。一体資産のうち、税抜価額が1万円以下であって、食品の価額の占める割合が3分の2以上の場合に限り、その全体が軽減税率の対象となり、それ以外は全体が標準税率の対象となる。
「外食」とは、飲食店業等の事業を営む者が飲食に用いられる設備がある場所において行う食事の提供をいい、「ケータリング等」とは、相手方が指定した場所において行う加熱、調理または給仕等の役務を伴う飲食料品の提供をいう。次に、軽減税率の対象には「新聞」がある。新聞は、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので、定期購読契約に基づくものに限られる。
また、消費税等の税率が標準税率(10%)と軽減税率(8%)の複数税率となっているので、事業者は、消費税等の申告等を行うために、取引等を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理(「区分経理」)を行う必要がある。消費税の仕入税額控除を適用するためには、こうした区分経理に対応した帳簿および請求書等(区分記載請求書等)の保存が要件となる(区分記載請求書等保存方式)。
免税事業者であっても、課税事業者に軽減税率の対象となる商品を販売する場合、相手方から区分記載請求書等の交付を求められる場合がある。なお、区分記載請求書等保存方式においては、制度実施前の請求書等保存方式における帳簿及び請求書等に必要記載事項に加え、帳簿に「軽減税率の対象品目である旨」、請求書等に「軽減税率の対象品目である旨」及び「税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)」を記載する必要がある。