2012年度~21年度の新卒と中途の採用比率は3対7

 リクルートワークス研究所が「大卒求人倍率調査」で収集してきたデータを用い、2012年度~21年度の企業の正規社員採用における新卒と中途の比率を計算すると、ほぼ一貫して3対7になった。つまり正規社員の採用のうち、新卒採用が3割である。過去10年間で、リーマンショック後の景気停滞や、アベノミクスからの人手不足、またコロナ禍など歴史的な出来事があったが、新卒採用は常に一定水準で維持されてきたことがうかがえる。

 一方で、正規社員に限定して企業側の視点から見ると、この10年間で中途採用市場が拡大したとはまだ言えない可能性が示唆される。ただ、中長期的には大企業を中心に、中途採用割合を引き上げると回答する企業が多い。中途採用市場の拡大が今後どのように進展していくかは、少子化による大学新卒者の減少なども踏まえ、今後の採用市場への注視が必要である。

 2023年卒において、通年採用を実施している企業は26.7%、検討中の企業の割合は11.4%%となった。しかし、検討すらしていない企業(「いいえ」と回答した企業)が45.5%と最も高く、まだ通年採用の普及は限定的と言える。ただ、通年採用は多義的であり、企業によって意味するところは異なる。最も多かったのが「年間を通して受付・選考」と「新卒・既卒の区分にこだわらない若年採用」で、それぞれ68.9%、58.7%となっている。

 また、通年採用の目的は従業員規模で異なる。従業員規模300人未満の中小企業では「必要な人員数を確保するため」の通年採用が90.3%と目立つ。一方で、5000人以上の大企業は、「必要な人員数を確保するため」の通年採用も77.8%と多いものの、「多様な人材を確保するため」(68.1%)や「優秀な人材を確保するため」(54.2%)も目立った。また、通年採用を未実施の理由では「採用担当者の負担が増すため」が53.1%で高い水準となった。

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