経済産業省は、経済のデジタル化を踏まえ、2021年10月に国際合意された最低税率課税制度(ピラー2)の円滑な導入、既存の外国子会社合算税制との関係整理及び簡素化のあり方を検討するため、研究会を設置し、第1回を6月17日に開催した。人口や国内市場が縮小するなか、我が国の「投資立国」化が急速に進行しており、我が国企業が海外成長市場で獲得した収益は我が国経済全体にとって非常に重要となっている。
他方で、経済のデジタル化が加速するなか、我が国企業は諸外国企業との激化する競争に直面しており、価格競争力や商品開発力に課題があると指摘されている。これらの課題の克服に向けて、税制面からも、我が国企業と諸外国企業との公正な競争条件を確保し、円滑な海外事業活動を支えていくことが必要になっている。こうした実情を背景に、「最低税率課税制度及び外国子会社合算税制のあり方に関する研究会」を設置されたわけだ。
同研究会では今後、2021年10月に国際的に合意された最低税率課税制度(ピラー2)について、米国、英国、EU等での検討が行われている状況も踏まえつつ、我が国における円滑な制度導入に向けた今後の論点を確認するとともに、海外展開する我が国企業に過度な負担がないよう、既存の外国子会社合算税制(「CFC税制」)との関係整理及び簡素化のあり方を検討していく。
ピラー2について、例えば、(1)我が国における円滑な最低税率課税制度導入に向けた今後の論点の確認、(2)最低税率課税制度とCFC税制との関係整理、CFC税制の簡素化のあり方、といった事項を議論する予定。第1回の6月17日開催以降、2回程度開催し、今夏を目途に、一定のとりまとめを行う予定だ。委員には座長の田近栄治氏(一橋大学名誉教授)のほか、太田洋氏(弁護士)など12名が名を連ねている。
また、オブザーバーとして、経済団体からは、日本経済団体連合会・日本貿易会が、関係省庁からは、財務省主税局参事官室、国税庁調査査察部調査課、金融庁総合政策課、経済産業省経済産業政策局企業行動課が参加している。なお、委員等による率直かつ自由な意見交換を確保するため、同研究会は非公開とするが、配布資料及び議事要旨を原則公表する予定という。