在宅勤務、「取りやめた」企業は27.2%に大幅増加

 東京商工リサーチが発表した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」結果(有効回答数6472社)によると、新型コロナウイルスの企業活動への影響について、最多は、「影響が継続している」で68.7%だった。前回調査(4月)は70.0%だったが1.3ポイント改善。一方、「影響が出たがすでに収束した」は15.1%と初めて15%を超え、前回調査(11.0%)を4ポイント以上上回り、過去最高となった。

 ただ、今年5月の売上高(単月)がコロナ前(2019年5月)を上回った企業は38.5%にとどまった。特に、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「生活関連サービス業,娯楽業」の26.4%、アパレル関連の「織物・衣服・身の回り品小売業」の18.1%がコロナ前と比べて売上高が半分以下にとどまっている。業績の回復度合いは業種間で乖離が大きく、経済活動の波に乗り切れない業種を中心に休廃業や倒産、私的整理に向かうケースが出てきそうだ。

 在宅勤務を「現在、実施している」企業は29.1%で、同一設問を設定した第18回調査(2021年10月)の37.0%から7.9ポイント下落。「実施したが取りやめた」は27.2%で、大幅に増加した。コロナ禍で広がった在宅勤務だが、業績や労務管理、効率化などの評価が難しく、浸透しきれない実状を反映している。コロナ禍で隠れていた「人手不足」が顕在化するにつれ、労働環境の整備が遅れた企業は採用難に直結する恐れも出ている。

 コロナ禍の収束が長引いた場合、「廃業」(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性が「ある」と回答した企業は5.1%(6055社中、309社)だった。前回調査(4月)から0.6ポイント改善し、2020年8月に設問を設定して以降、最少となった。規模別では、大企業で「ある」と回答した企業は0.4%(894社中、4社)、中小企業は5.9%(5161社中、305社)だったが、ともに過去最少となった。

 廃業検討の可能性が「ある」と回答した企業を業種別で分析した(業種中分類、回答母数20以上)ところ、構成比が最も高かったのは、「飲食店」の30.0%(40社中、12社)だった。以下、「その他の生活関連サービス業」の21.0%(38社中、8社)、「宿泊業」の16.6%(30社中、5社)と続く。これら業種の前回調査での「廃業検討率」は、それぞれ32.2%、31.2%、19.2%だった。

 同調査結果は↓

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