美作市へ「事業用発電パネル税」導入で再協議を通知

 総務省は6月10日付けで、岡山県美作市が導入を目指している法定外税「事業用発電パネル税」について、課税対象となるメガソーラーの運営事業者と導入にあたって再度協議をするよう萩原誠司市長宛てへ通知した。同市では、2012年に導入された国の固定価格買取制度により20年間の売電収入が保障されるようになり、同市内にも国内最大級の施設をはじめ太陽光発電施設の建設が急速に広がった。

 一方、太陽光発電事業は、発電設備に広く太陽光発電パネル設置の必要があり、発電パネル面積が広いほど大規模発電ができる。このため、立地開発による土地の形態変化で下流域への土砂災害、河川洪水などの懸念や、事業者による売電事業終了後の土地の荒廃の危惧など少なからぬ影響がある。そこで、防災対策、生活環境対策、自然環境対策のために要する費用に充てるため、法定外目的税として事業用発電パネル税の導入を検討。

 昨年12月の市議会で同税の創設を盛り込んだ市条例案を可決し公布。そして導入に向けた総務大臣との協議を進めていたが、総務省は市とメガソーラーの運営事業者に意見を聞き太陽光発電設備の災害対策に関する見解などで導入の前提が成立していないと判断し、同市へ自治税務局長名で同社と協議をするよう通知したわけだ。今後、同市はメガソーラーの運営事業者と協議を行い改めて総務大臣との協議を進めることになる。

 「事業用発電パネル税」は、太陽光パネルの面積に応じて課税を行うという、国内でも初めての税制として、その動向は大きな注目を集めている。発電認定容量が10キロワット以上の発電施設を対象にパネル1平方メートル当たり50円を課税するもの。標準的な50キロワット未満の低圧太陽光発電所で年間2万~2万5000円の課税となり、市の税収としては年1億1000万円を見込むという。

 課税期間は5年間で、施行後5年ごとに、必要がある場合は条例に検討を加え所要の措置を講ずることとしており、来年度の課税開始を目指している。