新規事業開発に「成功している」とする企業は30.6%

 パーソル総合研究所が、従業員数300名以上の企業で自社の新規事業開発を専任または兼務している担当者1800人を対象に実施した「企業における新規事業開発に関する調査」結果によると、新規事業開発の成功度については、「成功している」との回答は30.6%(「非常に成功」2.3%、「どちらかというと成功」28.2%)だったのに対し、「成功に至っていない」との回答は36.4%(「全く」9.5%、「あまり」26.9%)だった。

 現在、取り組み中の新規事業開発案件のうち、「将来、自社の主力事業になりそうな有望な事業」が生まれているという企業は全体の40.1%。新規事業開発担当者が感じている組織マネジメント上の課題は、「担い手となる人材の確保」(38.9%)、「知識・ノウハウ不足」(38.6%)が4割近く、次いで「意思決定の遅さ」と「評価制度の不適合」が約3割と、課題感が強い。一方で、「経営層の関与」や「社外との連携」に対する課題感は弱い。

 新規事業開発の最終決裁者については、新規事業開発を自社単独で行っている企業では「社長/CEO」(44.0%)が最も多く、社外組織と連携して行うオープンイノベーション型の企業では「新規事業開発担当役員」(40.8%)が最も多い。また、「社長/CEO」が最終決裁者の場合には、「意思決定の迅速さ」、「新規事業開発のプロセス構築」、「社内の関心の高さ」などの組織マネジメントに課題がある傾向が見られた。

 新規事業開発に対し、人事施策の側面から人事部が積極的に関与している企業は33.2%で、人事部が積極的な関与企業において、その取組みを「効果的」ととらえている新規事業開発担当者は70.7%にのぼった。また、新規事業開発を成功させるために強化すべきだと思う人事施策は、新規事業開発担当者では「上長の理解やサポートの促進」(47.0%)、「挑戦的な取組みを推奨・評価する人事評価制度」(38.8%)が上位に挙がった。

 一方で、人事部管理職では、「新規事業開発に適した人材の採用」(33.7%)が最も多く、次いで「上長の理解やサポートの促進」(31.6%)、「挑戦的な取組みを応援する企業風土」(30.5%)が続いたが、新規事業開発担当者ではランキング2位に挙がっていた「挑戦的な取組みを推奨・評価する人事評価制度」が、人事部管理職では29.1%と6位にまで後退するなど、両者の間でやや認識のギャップが見られた。

 同調査結果は↓

https://rc.persol-group.co.jp/assets/files/202205230001.pdf