昨年10月時点の大学発ベンチャーは最多の3306社

 2021年10月時点での大学発ベンチャー数は3306社と、2020年度で確認された2905社から401社増加し、企業数及び増加数ともに過去最多を記録したことが、経済産業省がこのほど公表した「2021年度大学発ベンチャー実態等調査」結果で明らかになった。また、大学発ベンチャーの企業情報を公開している「大学発ベンチャーデータベース」についても、本年度の調査結果を踏まえて更新している。

 大学発ベンチャーは、大学等における革新的な研究成果をもとに、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として期待されている。大学別の大学発ベンチャー企業数をみると、引き続き「東京大学」が329社で最も多いものの、「京都大学」(242社)、「大阪大学」(180社)、「筑波大学」(178社)、「慶應義塾大学」(175社)など他大学の伸びも目立ち、多くの大学がベンチャー創出に力を入れていることがうかがえる。

 大学発ベンチャーにおける新型コロナウイルスの影響については、特に資金調達(投資)でネガティブな影響が見られた(311社が複数回答)。47%の企業が「調達は予定していなかった」ものの、資金調達(投資)を予定していた企業では、コロナ禍により「調達先候補との接触が難しくなった」(26%)や「調達予定が見送られた」(10%)と回答した企業が多く、「予定調達額が下がった」との回答も8%あった。

 大学発ベンチャー企業の従業員に占める博士人材の比率は、特に研究成果ベンチャーや技術移転ベンチャーにおいて、一般企業の研究職に比べて高く、大学発ベンチャーでは博士人材が積極的に活用されていることがうかがえる。また、1社あたりの博士人材数も、研究成果ベンチャーや技術移転ベンチャーが多い。創業時と現在を比較すると、大学発ベンチャーの事業分野と「同分野」の博士号取得者が増えている傾向にある。

 博士人材が担っているポストは、「CEO」(64.4%)、「CTO」(56.1%)が多く、マネージャ、一般社員クラスでは「技術研究開発」(25.55)が多い。博士人材を採用したいポストがあると回答した大学発ベンチャー企業は51%と約半数だった。なお、資金調達先は「創業家・その家族・親族・知人」が全ステージで上位。ステージ前半は取締役・従業員やVCからの投資、ステージ後半は金融機関からの融資が目立つ。

 大学発ベンチャー実態等調査の結果の概要は↓https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/start-ups/reiwa3_vc_cyousakekka_gaiyou.pdf