DX(デジタルトランスフォーメーション)は中小企業者においても重要な経営課題の一つだが、中小機構が全国の中小企業者等1000社を対象に実施した「中小企業のDX推進に関する調査」結果によると、DXへの取組状況について「既に取り組んでいる」と回答した企業(7.9%)と「今後取組みを検討している」企業(16.9%)の割合の合計は24.8%となっている。一方、「取り組む予定はない」と回答した企業は41.1%にのぼった。
DXの具体的な取組み内容(複数回答)は「ホームページの作成」(47.2%)、「営業活動・会議のオンライン化」(39.5%)、「顧客 データの一元管理」(38.3%)などが高い割合となっている一方で、「IoT活用」(19.4%)、「AIの活用」(16.9%)、「デジタル人材の採用・育成」(15.7%)など、DXが目指しているデジタル化したデータを活用して新しいサービスを提供していくための取組内容の比率は相対的に低くなっている。
DXの取組みへの課題(複数回答)は、「DXに関わる人材が足りない」(31.1%)、「ITに関わる人材が足りない」(24.9%)などDX・IT関連の人材不足の課題が多く、次いで「具体的な効果や成果が見えない」(24.1%)、「予算の確保が難しい」(22.9%)などが挙げられた。従業員規模20人以下では「予算の確保が難しい」(26.4%)が、21人以上では「DXに関わる人材が足りない」(41.8%)がそれぞれ最多となった。
DX推進に向けて期待する支援(複数回答)としては、「補助金・助成金」(44.8%)が最も多く、次いで「中小企業のためのDX推進指針の策定・公表」(33.8%)、「セミナーの開催」(18.9%)、「公的支援機関や専門家の経営相談を活用」(14.2%)の順となっている。当座の資金充当を求める傾向が強い一方で、DXの取組方法に関する情報や専門的知識が少ないことへの支援ニーズも高いことが分かる。
経営資源が限られる中小企業にとって、DXやITの専門人材の不足も課題だが、研修制度などを活用して社内の人材育成を図るとともに、専門家の派遣など外部人材を活用することが効果的だ。コロナ禍においても、多くの企業でDXの取組みは計画どおり進捗しており、2割超の企業は取組みを強化・加速させている。こうした状況下にあっても、DXへの取組みによる競争上の優位性を確保するような動きは、一層高まってくるとみられる。