コロナ禍で外食産業が苦戦するなか、「回転すし」市場の好調ぶりが際立っている。帝国データバンクがこのほど発表した「回転すし業界動向調査」結果によると、スシローやくら寿司など大手を中心とした2021年度の国内回転すし市場(事業者売上高ベース)は、10年前の4636億円(2011年度)から1.6倍の規模に拡大、前年からも約600億円増加し、7400億円(8.3%増)を超える見込みとなった。
前年度(20年度)は、4~5月を中心にコロナ禍に伴う休業や時短営業などが響き、前年比で売上が最大7割減少する回転すしチェーンも発生するなど厳しい状況で、過去10年で初の減少となった。2021年度もこうした影響が残ったものの、前年度後半から売上を伸ばしたテイクアウト需要が売上を下支え。地方の回転すしチェーンでは、コロナ前の水準には及ばないものの、帰省による「ごちそう需要」や、観光客向けの需要が復調傾向にある。
また、積極的な店舗展開も業績を押し上げた。大手5社の店舗数を調査したところ、2022年2月末時点では約2200店となり、コロナ前の2019年度から150店増加、10年前からは800店増加し、10年で1.6倍規模に拡大した。主要立地となる郊外ロードサイドを軸に店舗網を広げてきた大手回転すしチェーンでは、新たにターミナル駅近隣に小規模店を出店するなど、これまで手薄だった都市部での開拓をより強化する動きがみられる。
回転すし市場の伸長は、特にファミリー層による需要増が貢献している。総務省の家計消費状況調査によれば、世帯当たりの外食への支出はコロナ禍前の2019年度から大きく落ち込み、21年度も低水準で推移した。そうした中でも、回転すしは巣ごもり需要に伴うテイクアウト需要を掴んだ「ハンバーガー」に次いで好調で、21年度は前年を約1000円上回る年間1万2624円(2月まで)となった。
2021年度は、過去最高だったコロナ前の19年度に迫るほか、10年前の水準(8560円)の1.5倍に達するなど、回転すしの堅調ぶりが際立った。20年度に比べて店内飲食が回復したことで、テイクアウトでは需要がつかみにくかったデザートやラーメンなどサイドメニューをはじめとした300円や400円といった高額商品が、「ファミリー層を中心に売上が好調」といった要因も重なった、と分析している。
同調査結果は↓https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220502.pdf