帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、4月の倒産件数は487件で、前月比では▲17.0%、前年同月比でも▲0.4%となり、11ヵ月連続で前年同月を下回った。4月としては集計開始以降最少を記録する一方、減少率は▲0.4%とほぼ横ばいで推移。コロナ禍以降続いた倒産件数の大幅減少のペースは落ち着きを見せ始め、減少率は最小だった。
一方、負債総額は720億1700万円(前月1825億8200万円、前年同月799億9000万円)となり、前月比では▲60.6%の大幅減少、前年同月比でも▲10.0%の減少となり、3ヵ月ぶりに前年同月を下回った。負債5000万円未満の倒産は290件、構成比は59.5%を占めた。負債額最大の倒産は、合同会社バイオマスプロジェクト第1号SPC(特定目的会社)(破産、東京都)で、負債は6000万円にとどまった。
業種別にみると、7業種中5業種で前年同月を下回った。小売業(前年同月124件→94件、▲24.2%)では、まん延防止等重点措置の全面解除といった影響もあり、飲食店(同46件→25件)で大幅に減少、全体でも2ヵ月連続の前年同月比二ケタ減となった。一方、サービス業(前年同月107件→139件、29.9%増)では、宿泊業(同3件→10件)が8ヵ月ぶりの大幅増に転じるなど、2ヵ月連続の増加となった。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は290件(前年同月比▲2.4%)で、11ヵ月連続で減少、構成比は59.5%を占めた。このうち、サービス業(99件、23.8%増)が11ヵ月ぶりに増加に転じた一方で、小売業(64件、▲24.7%)は11ヵ月連続で減少し、業種間で傾向が分かれた。資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産が322件(前年同月比▲2.1%)、構成比は66.1%を占めた。
地域別にみると、9地域中5地域で前年同月を上回った。近畿(前年同月126件→141件、11.9%増)は、大阪、滋賀では二ケタ減となった一方、京都(同17→28件、64.7%増)など4府県で二ケタの大幅増となり、全体では11ヵ月ぶりの増加に転じた。東北(同15件→24件、60.0%増)では、4ヵ月連続で前年同月比50%超の大幅増が続いており、建設業(同2→8件)やサービス業(同0件→7件)の倒産が顕著にみられた。
同倒産状況の概要は↓