労務行政研究所が発表した「今年4月の新卒入社者の初任給調査」結果(有効回答数201社)によると、2022年度の初任給を前年度から「全学歴引上げ」した企業は41.8%と、昨21年度速報集計時の17.1%から20ポイント以上上昇した。一方、「全学歴据置き」した企業の割合は49.7%と、同速報集計時の74.3%から20ポイント以上低下した。産業別にみると、製造業は50.5%の企業が引き上げたのに対し、非製造業は30.6%となった。
初任給引上げ率の推移をみると、リーマンショックの影響による世界的不況の波を受けた2013年度までは3~4%台の低い割合が続いていたが、14年度は輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に23.2%と大幅に上昇。15年度はさらに上昇し39.9%となった。16年度と17年度は引上げ率が30%前後で推移したが、18年度は再び大きく上昇し、39.7%となった。
2019年度、20年度は減少基調ながら30%を超えていたが、21年度はコロナ禍による業績不振の影響などを受け17.1%と大幅に低下。しかし、22年度は一転して40%台と大幅に上昇し、過去10年間で最多となった。ちなみに、初任給を「全学歴据置き」とした企業は19年度以降増加し、21年度は74.3%と大幅に上昇したものの、22年度は49.7%まで減少し、過去10年で最も低くなった。
全産業でみた学歴別の初任給水準は、「大学卒」(初任給に差を設けず、一律設定の場合。以下、一律)21万6637円、「大学院卒修士」23万4239円、「短大卒」18万7044円、「高校卒(一律)」17万5234円となった。同一企業における昨21年度初任給と比較した上昇率は、「大学卒(一律)」1.2%、「大学院卒修士」0.9%、「短大卒」1.0%、「高校卒(一律)」1.6%である。
2022年度の学歴別決定初任給の上昇額は、「大学卒(一律)」では、「据置き」が 51.2%、「引上げ」が 48.8%となっており、引き上げた場合の上昇額は「1000円台」が25.0%で最も多く、次いで「1万円以上」が23.3%、「3000円台」が15.0%と続く。引き上げた場合の平均上昇額は5276円となった。
同調査結果は↓https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000082927.pdf