ロシア進出の日本企業、「現地事業停止」が36%判明

 ロシアがウクライナ侵攻を開始して以降、ロシア現地工場の操業停止や同国への製品輸出を見合わせるなどの動きが日本企業でも急激に進んでいる。帝国データバンクが発表した「日本企業のロシア進出状況調査」結果によると、2022年2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、4月11日までにロシア事業の停止や制限・撤退を発表・公開した企業は、36%にあたる60社で判明した。

 事業を停止や制限・撤退した企業は3月15日時点では22%にとどまっていたなか、1ヵ月間で約2倍に拡大した。また、3月時点では完全撤退を表明した企業はゼロだったが、4月時点では新たに3社がロシア現地事業からの撤退を発表した。ロシアのウクライナ侵攻が長期化するなか、日本企業ではロシアビジネスの先行きについて警戒感が増していることも、停止や凍結に踏み切る企業が急増している要因となっている。

 一方で、受注残といった理由から現地での事業を当面継続する企業も複数判明した。事業の停止や中断となった内訳では、製品の出荷・受注などを含む「取引停止」が31社で最も多く、3月(22社)から9社増加した。次いで現地工場の稼働停止など「生産停止」(11社)が続き、同4社増加。店舗や、現地の販売活動などを含めた「営業停止」は9社となり、同5社増加した。

 業種別にロシア事業を停止・撤退した割合をみると、最も高いのは「製造業」で、業種全体の42%を占め、全体平均を上回る唯一の業種となった。現地工場の操業停止のほか、部品や完成品の輸出・取引を一時的に停止するといった措置をとる企業が多い。次いで金融機関や事業持ち株会社など「金融・保険業」(26%)、商社などを含む「卸売業」(20%)が続いた。最も割合が低いのは「卸売業」と「運輸・通信業」の 20%だった。

 ロシアが撤退する外国企業の資産国有化を打ち出すなどビジネスリスクの高まりも浸透したことで、対ロビジネスの停止や撤退の判断は「侵攻当初よりも容易にはなっている」といった見方もある。帝国データバンクは、「国際的な対ロ非難は長期化する可能性が高く、ビジネス環境が正常化する道筋も現時点では立っておらず、そのためロシアビジネスを見直す動きはこれまで以上に進む可能性が高い」とみている。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220407.pdf