2月24日にロシアがウクライナ侵攻してから約2ヵ月が経過。日本や欧米各国は、ロシアへの経済制裁を強めている。東京商工リサーチが4月1日~11日にかけて実施した「ロシアのウクライナ侵攻に関するアンケート調査」結果(有効回答数5783社)によると、すでに経営にマイナスの「影響を受けている」は35.5%、「今後影響が見込まれる」は46.0%で、合計81.5%の国内企業が経営への影響を懸念していることがわかった。
「影響を受けている」、「今後影響が見込まれる」と回答した企業を業種別(業種中分類、回答母数20以上)で分析したところ、影響に言及した企業の構成比(影響率)の最高は、アルミニウムや亜鉛などの「非鉄金属製造業」で100%(25社中、25社)。このうち、すでに「影響を受けている」は17社だった。以下、「農業」、「自動車整備業」の95.0%、「ゴム製品製造業」の94.1%、「木材・木製品製造業」の92.3%と続く。
「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」企業が、影響が表れると見込む時期は、「6ヵ月以内」が78.3%と約8割で、現在、影響が顕在化していない企業も比較的早い時期の経営への逆風を予想している。また、「影響を受けている」、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」と答えた企業が受けている(見込まれる)影響(複数回答)は、最多が「原油以外の原材料高騰に伴う利益圧迫」の73.5%だった。
次いで、「原油高騰に伴う利益圧迫」の67.3%と、多くの企業がコストプッシュによる利益押下げを懸念。また、「現地(ロシア・ウクライナ)で生産、部品調達がしにくくなった」は7.9%、「現地以外での生産、部品調達がしにくくなった」は17.2%で、サプライチェーンへの影響は大きい。「現地以外での生産、部品調達がしにくくなった」企業が取っている(取る予定)対応策(複数回答)は、最多が「取引先に部品確保を要請」の51.1%だった。
次いで、「在庫の積み増し」が43.1%だった。一方、「国内(日本)生産・調達へ回帰」は26.4%に達した。円安進行、新興国の経済成長で相対的に国内の人件費の割安感も出ているほか、安定調達の懸念から今後、国内回帰への動きも注目される。「その他」は、「取引先への納期延長依頼」(内装工事業)、「一部休業し、雇用調整助成金を申請予定」(電力制御装置製造業)などが挙げられている。
同調査結果は↓https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220414_01.html