新型コロナ感染拡大が背景の供給制約やロシアのウクライナ侵攻などにより、原材料価格や、輸送費などに影響を及ぼす原油価格の高騰が続いているなか、企業で製商品の値上げの動きが相次いでいる。帝国データバンクが発表した「企業の今後1年の値上げ動向調査」結果(有効回答数1855社)によると、主要製商品・商材、サービスの値上げ動向は、3割の企業で「2021年10月~2022年3月の間にすでに値上げした」(32.7%)と回答した。
また、「2022年4月に値上げした/する予定」は25.7%、「5月に値上げを行う予定」の企業は11.1%、「6月」は7.6%となるなど、今後も値上げが続くもようだ。総じてみると、2022年4月以降1年以内で「値上げした/する予定」の企業は43.2%となった。また、過去半年間ですでに値上げを行った企業及び今後1年以内で値上げする予定の企業の割合は64.7%となっている。
すでに値上げをした企業の割合を業種別にみると、2021年ごろから価格の高騰がみられる鋼材などの「鉄鋼・非鉄・鉱業」は59.8%と全体(32.7%)を27.1ポイント上回っている。また、「化学品製造」(55.6%)も5割台で続いている。他方、今後1年以内で値上げを行う企業について、「飲食料品・飼料製造」は73.1%と突出して高く、2022年7月~9月でも2割超の企業が値上げを予定となっている。
特に、「飲食料品・飼料製造」と「化学品製造」ではすでに値上げを行った企業及び今後1年以内で値上げする予定の企業割合は8割超となり、川下産業に影響を及ぼす可能性がある。一方で、「運輸・倉庫」などでは失注につながる懸念などを理由に値上げが進んでおらず、今後も値上げ予定の企業が限られ、「値上げしたいが、できない」企業が30.9%と全国(16.4%)を14.5ポイント上回っており、価格転嫁が進んでいない状況にある。
小売業や個人向けサービス業を含む「個人消費関連」では、企業の43.2%が「2022年4月以降1年以内で値上げをした/する予定」。消費者心理がさらに冷やされる恐れもある。なかでも生活必需品を含め人々の生活にすぐに結びつく製品を扱う「小売」において、すでに値上げを行った企業は 37.9%と全体(32.7%)を5.2ポイント上回った。一方、値上げしたいができない企業は9.7%で全体(16.4%)より6.7ポイント低くなっている。
同調査結果は↓