21年度飲食業の倒産、5年ぶりの600件台にとどまる

 東京商工リサーチの調査によると、2021年度(4~3月)の「飲食業」倒産(負債1000万円以上)は612件(前年度比▲21.9%)で、2年連続で前年度を下回った。年度で600件台は、2016年度以来、5年ぶり。ただ、新型コロナウイルス関連倒産は309件(同52.2%増)で、前年度の1.5倍と大幅に増えた。コロナ関連の各種支援策で飲食業倒産は抑制されているが、コロナ禍の影響を克服できず息切れ倒産する企業が目立つ。

 業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼き肉店などの「専門料理店」が151件(前年度比▲16.1%)で最多。以下、コロナ禍で深刻な打撃を受けた「酒場,ビヤホール(居酒屋)」が150件(同▲14.2%)、「食堂,レストラン」が117件(同▲33.5%)と続く。コロナ関連支援で倒産全体が抑制され、飲食業倒産も前年度比▲21.9%だった。ただ、「喫茶店」は56件発生したが、減少率は前年度比▲5.0%にとどまった。

 原因別では、最多が「販売不振」の509件(前年度比▲23.8%)。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」37件(同5.7%増)、「他社倒産の余波」(同35.7%増)と「事業上の失敗」(同▲38.7%)がそれぞれ19件と続く。『不況型倒産』(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は546件で、構成比約9割(89.2%)を占めた。一方、放漫経営による「事業外の失敗」も5件(前年度1件)発生した。

 形態別では、消滅型の「破産」が585件(前年度比▲20.8%)で、構成比95.5%を占めた。一方、再建型の「民事再生法」は構成比1.9%(12件)で、前年度の同3.1%(25件)から1.2ポイント低下。コロナ禍で先行きが見通せず、消滅型の倒産を選択する飲食店が増えた。負債額別は、「1億円未満」が541件(同▲22.2%)で、構成比は約9割。内訳は、「1千万円以上」が444件(同▲26.3%)、「5千万円以上」が97件(同4.3%増)だった。

 負債額の最大は、アンドモワ(株)(東京、居酒屋経営ほか、破産)の80億円で、飲食業のコロナ関連倒産では最大となった。また、従業員数別は、「10人未満」が573件(前年度比▲22.4%)で、構成比9割(93.6%)を占めた。内訳は、「5人未満」が517件(同▲21.0%、構成比84.4%)、「5人以上10人未満」が56件(同▲33.3%、同9.1%)。「50人以上300人未満」は前年度と同件数の2件で、「300人以上」はゼロだった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220406_02.html