帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、3月の倒産件数は587件で、前月比では37.2%増となったものの、前年同月比では▲9.4%となり、10ヵ月連続で前年同月を下回った。10ヵ月以上の連続減少は、2013年8月~2015年2月(19ヵ月連続)以来で、コロナ禍以降では2020年8月~2021年4月(9ヵ月連続)を上回る長さとなった。
一方、負債総額は1825億8200万円(前月780億6600万円、前年同月1400億5300万円)となり、前月比では133.9%増、前年同月比でも30.4%の大幅増加となり、2ヵ月連続で前年同月を上回った。負債100億円以上の大型倒産が4件発生し、コロナ禍の2020年3月以降で最多となった。負債額最大の倒産は、(株)ホープエナジー(福岡県、破産)の約300億円だった。
業種別にみると、7業種中3業種では前年同月を上回った。なかでもサービス業(前年同月140件→148件、5.7%増)は10ヵ月ぶりに増加。市場の縮小が続くパチンコホールなど娯楽業(同3件→11件、266.7%増)などで増加しており、減少が続いた対面接客産業で反転増の兆しがみられる。一方、卸売業(同82件→71件、▲13.4%減)、小売業(同164件→119件、▲27.4%)の流通2業種は減少した。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は349件(前年同月比▲15.1%)で、10ヵ月連続で減少した。減少期間は2020年9月~21年4月の8ヵ月を上回り、過去最長だった。総じて、小規模倒産は減少傾向で推移している。一方、負債5億円以上の倒産ではいずれも前年同月を上回った。なかでも負債100億円以上の大型倒産は4件発生し、単月の発生としては2015年3月以来7年ぶりの多さだった。
地域別にみると、9地域中5地域で前年同月を下回り、4地域では上回るまだら模様での推移。減少地域では、四国(前年同月14件→7件、▲50.0%)が半減、関東(同236件→178件、▲24.6%)は小売業の減少などが全体を押し下げた。一方、東北(同29件→45件、55.2%増)は1年9ヵ月ぶりの40件超え、九州(同46件→61件、32.6%増)は宿泊業などサービス業が3年9ヵ月ぶりの高水準で、前年同月比でも3ヵ月ぶりの増加となった。
同倒産状況の概要は↓